低価格・高品質な農業用自律型モジュール式ロボットThorvaldを開発するSaga Robotics社について解説

事業概要

Saga Robotics社は、低価格・高品質な農業用自律型モジュール式ロボットを開発する農業テクノロジー企業です。2016年にノルウェー生命科学大学のロボット工学グループのメンバーによって創業され、社員数は11〜50名と推定されます。

ノルウェーや世界各地の農家が抱える労働力不足、持続可能性、収量確保といった課題に対して、自律型ロボットThorvaldにより持続可能で収益性の高い食糧生産をサポートしています。

Youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=UVbL1b8gMDQ

Saga Robotics社は、農家のリスクを減らし、より環境に優しく、より安く、より良く、より健康的な食品を生産することで、農業をより収益性の高いものにすることをミッションとしています。

ビジネスモデル

Saga Robotics社では、農家にハードウェアを販売するのではなく、自律型モジュール式ロボットのThorvaldを活用した「サービスとしてのロボット」提供しています。現在はイチゴ向けのサービスを主に展開しており、イチゴが影響を受けやすい粉べと病の病原体を光処理によって殺菌したり、イチゴの収穫を行ったりと、Thorvaldが持続可能な方法で必要な作業を行います。

テクノロジー

Saga Robotics社が開発したThorvaldは、ほとんどの農業環境に合わせて設定できる自律型モジュール式ロボットです。モジュール式のため、同じ基本モジュールを使って全く異なるロボットを構築し、基本的なハンドツールだけで再構築することができます。畑、トンネル、果樹園、温室で動作し、病気管理のための光処理、果物や野菜の摘み取り、フェノタイピング、圃場内の移動、飼料生産のための草刈り、散布、データ収集、作物予測などのタスクを実行することができます。

Thorvaldは高度なナビゲーション手法と人工知能を用いて、完全に自力で動作し、様々な作業を行います。小型軽量であるため、トラクターや手作業で作業するよりも効率的かつ低コストで多くの作業を行うことができます。また、土壌の圧縮を減らし、環境や農地の質に与える影響を軽減します。

マシンビジョンによる機械除草などの作業を行うことで、農地の効率と収益性を向上させることができます。光処理や精密散布を用いたロボット除草は、必要な農薬の量を減らすことができ、経済的なメリットだけでなく、農業の環境負荷の低減にも貢献します。加えて、Thorvaldの体系的なデータ収集によって、農業経営を劇的に改善することができます。

今後の計画

Saga Robotics社は、2020年9月に1100ドルを資金調達しており、あらゆる条件に適応できる信頼性の高いナビゲーションシステムを搭載したロボットをより、今後より多くの農場に送り出す予定です。また、農家にハードウェアを販売するのではなく、「サービスとしてのロボット」ビジネスモデルに焦点を当てる計画です。

コメント

農業用ロボットは1種類の環境でしか動作しないように設計されているものが多い中、Saga Robotics社が開発したThorvaldは複数の環境で、特定の作業を行うようカスタマイズできる点で優れていると言えます。Thorvaldをプラットフォームとして活用できる作業が、パートナー企業との提携で今後より増えていくことが期待されます。

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