太陽光発電による自律型除草ロボットで、環境への悪影響とコストを低減する農業ロボットベンチャーEcoRobotixについて解説

事業概要

ecoRobotix社は、現代の農業が環境に与える悪影響を軽減する自律型ロボットを開発している農業ベンチャーです。2014年にスイスを拠点に設立されました。従業員数は50〜100人と推定されています。

ecoRobotix社は、農作業を簡素化し、正確性・安全性・信頼性の高く手頃な価格の自律型ロボットの普及を目指しています。土壌と水資源の保全に重点を置き、最小限のエネルギーを使用する環境にやさしい農業の実現に貢献しています。

ecoRobotix社が開発した太陽光発電による除草ロボットによって、農家は除草剤やエネルギーコストの削減が可能で、より環境に優しい農業を行うことができます

ビジネスモデル

ecoRobotix社は、最小限のエネルギーで動き、農業が生態系に与える悪影響を軽減できる革新的な農業ロボットを開発、製造、販売しています。

現在は自律型除草ロボットAVOと、様々なメーカーのセンサーを統合できる自律型の台車ロボットARAを販売しています。

テクノロジー:太陽光発電で動く自律型除草ロボットAVO

ecoRobotix社の開発した代表的なロボットが、太陽光発電で動く自律型除草ロボットAVOです。

AVOは、平面の農場と列作物に対し、完全自律的に除草作業を行うロボットです。機械学習によって雑草を検出し、微量の除草剤を適切な場所に散布します。センチメートル単位の精度で雑草を検出し、除草剤を噴霧することで、作物への噴霧は防止されます。

大量に並んだノズルから雑草にだけ薬剤を噴霧します
作物には薬剤が当たっていません

ロボットを利用しない場合と比べて除草剤の使用量が95%以上削減され、コスト削減と環境への悪影響を減らすメリットがあります

また、AVOは太陽光発電パネルと充電式バッテリーを搭載しており、完全に自律的に動作します。利用者はソフトウェア上で、農場の境界と作業範囲を指定でき、システムはその情報を考慮してナビゲーションパスを生成します。GPS RTKポジショニング技術と、画像によるナビゲーションを組み合わせることで、作物の上の通過を最小限に抑え、高精度で動作します。

圃場に設置されたAVO(公式動画より)
タイヤは大きく回転し小回りが効きます
重さは750kg以下

四輪駆動のため、斜面での動作も可能です。1時間あたり0.6haの作業ができ、夜間にも活動することができます。太陽の照射条件やバッテリーの充電量、地形の条件によって変動はありますが、夜間操作も含めて1日あたり最大10haの処理が可能です。

夜間活動の様子。画像認識のためライトを当てている

今後の計画

ecoRobotix社は、2018年5月に1070万ドルを調達しており、ヨーロッパ全土での除草ロボット導入を促進しています。世界中で数十億ドル規模と言われる除草市場をターゲットとし、グローバルな市場への拡大の第一歩としてヨーロッパ全体での導入を目指しています。

コメント

ロボット工学を利用した除草の自動化は、近年のヨーロッパ農業業界で注目されており、フランスやドイツ企業によっても開発されています。ecoRobotix社のような環境にやさしく、コスト削減も期待できるロボットの開発は今後さらに注目されることが予想されます。

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