特許取得済みの地下検出技術が搭載された、Cerescon社のアスパラガス自動収穫ロボット「Sparter」について解説

事業概要

Cerescon社は、2014年にオランダを拠点に設立された農業テック企業です。社員数は約11〜50人と推定されます。アスパラガスをはじめとした選択的収穫ロボットの開発をビジョンとしています。

アスパラガス自動収穫ロボットの実現可能性を実証した世界初の企業で、現在アスパラガス自動収穫ロボットの開発、製造、マーケティングに注力しています。アスパラガスの収穫は、収穫に適したものを選択して収穫し、後日収穫するアスパラガスに傷をつけないようにしなければなりません。そのための選択技術開発に初めて成功したのがCerescon社のアスパラガス収穫ロボットSparterです。

世界中のアスパラガス畑で手作業での収穫行われていますが、労働者の数は年々減少しコストが上昇し続けています。Cerescon社は、農業とハイテク両方のノウハウを組み合わせることで、自動の選択的収穫ロボットを開発し、画期的なソリューションを提供しています。

Youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=dqeXRkRQIfE

ビジネスモデル

Cerescon社はアスパラガス農家向けにアスパラガスの自動選択収穫ロボットであるSparterを販売しています。Sparterの利用により、農家の収穫コストは50%削減され、機械による正確な切断で収穫量が最大20%向上します。

1列、2列、3列のSparterを販売しており、3列ロボットの価格は600,000ユーロです。Cerescon社は、ロボットへの投資額は3〜4シーズンで回収できるとしています。2020年10月には、オランダ最大のアスパラガス生産者であるTeboza社とMartensAsperfes社がSparterの購入契約に署名しました。

テクノロジー

Cerescon社の開発した選択的収穫ロボットであるSparterは、収穫コストの削減と、品質と量の向上を実現します。アスパラガス畑で1列、2列、または3列対応のSparterトラクターを稼働させて、土壌から出ていない段階のアスパラガスを収穫します。土壌から出ていないアスパラガスを収穫することで、変色や過度な発育を防ぐことができます

選択的自動収穫ロボットSparterは、特許取得済みの地下検出方法に基づいており、収集した多くのデータに基づいて作物の収穫量が予測可能になります。地下検出により、アスパラガスの損傷が減り、収穫能力が3倍になります。また地下探知には光源が必要なく、昼夜問わず作業が可能です。

アスパラガス畑に敷かれているフィルムは収穫時に持ち上げられ、収穫後に元の位置に戻されます。

収穫されたアスパラガスはコンベヤーで収集ユニットに運ばれ、収穫跡は砂床修復モジュールによって修復されます。

筒状の装置が正確に土中のアスパラを摘出します
掘り上げられたアスパラは1箇所に集められます

1列の自走式Sparterは、1時間あたり約0.3haの作業が可能で、シーズン中2.5日に1回16時間稼働させることで30haをカバーすることができます。これは25人の労働力に相当します。

今後の計画

Cerescon社は、今後徐々にSparterを増産したいと考えており、2026年までに年間150台を商業生産することを目標にしています。生産に関しては、オランダの大規模な製造業社とパートナーシップを結んでいます。

コメント

労働集約的な農業であり人手不足が問題となっているだけでなく、地下で育成する特徴から収穫時に傷が付きやすく販売につながらないという課題を抱えるアスパラガス業界で、地下検出と選択技術を備えたCerescon社のロボットは今後さらに注目されることが期待されます。

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