会社基本情報
| 会社名 | Indigo Ag(Indigo Agriculture) |
|---|---|
| 所在地 | アメリカ合衆国 マサチューセッツ州ボストン |
| 設立 | 2014年 |
| CEO | Ron Hovsepian |
| 累計資金調達額 | 約14〜20億ドル |
| 公式サイト | https://www.indigoag.com/ |
事業概要
Indigo Agは、農業分野における最大級のカーボンクレジットプログラムを運営する企業です。再生型農業(リジェネラティブ農業)を実践する農家に対してカーボンクレジットの発行・販売を代行し、報酬を支払う仕組みを構築しています。カーボンクレジット事業に加え、穀物マーケットプレイスや微生物種子処理剤の提供も行っています。

同社のプログラムには全米28州以上から800万エーカー以上の農地が参加しており、累計で210万メトリックトン以上のCO2換算量を隔離した実績があります。Microsoftとは12年間にわたる長期契約を締結し、285万クレジットの取引を行っています。
課題と解決策
農業由来の温室効果ガスと農家の経済課題
農業は世界の温室効果ガス排出量の約10〜12%を占めるとされ、脱炭素社会の実現には農業分野の取り組みが不可欠です。一方で、再生型農業への移行にはカバークロップの導入や不耕起栽培への転換など追加コストが発生するため、農家にとっての経済的インセンティブが必要でした。
Indigo Agのカーボンクレジットモデル
Indigo Agは、農家が再生型農業を実践することで土壌に隔離される炭素量を科学的に測定・検証(MRV: Measurement, Reporting, Verification)し、カーボンクレジットとして発行する仕組みを構築しました。発行されたクレジットはMicrosoftなどの企業に販売され、農家は追加の収入源を得ることができます。Climate Action Reserveによる第三者検証を経ているため、クレジットの信頼性も確保されています。
ビジネスモデル
Indigo Agの収益は、カーボンクレジットの販売手数料、穀物マーケットプレイスでの取引手数料、および微生物種子処理剤の販売から構成されています。カーボンクレジット事業では、農家と企業の仲介者として機能し、クレジット販売額の一部を手数料として受け取ります。
2026年2月には第5回目のカーボンクロップ(炭素作物)の発行を完了し、累計隔離量は200万トンを突破しました。Microsoftとのパートナーシップは第3回目の取引に拡大し、長期契約の着実な履行が進んでいます。
今後の計画
Indigo Agは、カーボンクレジットプログラムの規模をさらに拡大し、参加農地面積と隔離量の増加を目指しています。Microsoftとの12年契約は今後も安定した収益源となる見込みです。
また、再生型農業の実践に伴うコベネフィット(水質改善、生物多様性の向上など)にも注目が集まっており、カーボンクレジット以外の環境価値の定量化・市場化も将来的な事業機会として検討されています。穀物マーケットプレイス事業では、再生型農業で生産された穀物に対するプレミアム価格設定の実現も視野に入れています。
コメント
Indigo Agは、農業カーボンクレジット市場を事実上牽引する存在です。800万エーカー以上の参加農地と210万トン以上の炭素隔離実績は、この分野における圧倒的なスケールを示しています。Microsoftとの12年契約は、農業カーボンクレジットに対する大企業の本格的なコミットメントを象徴するものといえるでしょう。
同社の炭素隔離を正確に測定するMRV技術は、CropXの土壌モニタリング技術と補完関係にあります。また、FBN(Farmers Business Network)のようなプラットフォームを通じて、カーボンクレジット収入と営農コスト削減を同時に追求する農家も増えています。
ただし、農業カーボンクレジット市場はまだ制度設計の途上にあり、クレジットの永続性や追加性に対する議論も続いています。Indigo Agが第三者検証を徹底している点は、市場の信頼性確保に大きく貢献しています。