Solinftec:2,700万エーカーを管理するブラジル発のAI農業プラットフォーム+自律型ロボット

会社基本情報

  • 会社名:Solinftec(法人名:Tecsoil Inc.)
  • 所在地:ブラジル・アラサトゥバ / 米国インディアナ州ウェストラファイエット
  • 設立:2007年
  • 代表者:Britaldo Hernandez(CEO)
  • 従業員数:700名以上
  • 累計調達額:約1億4,700万ドル
  • 公式サイトhttps://www.solinftec.com/en-us/

Solinftecは2007年設立と、アグテック企業としては長い歴史を持つブラジル発の企業です。ブラジルのサトウキビ生産者の85%が利用し、ブラジルのトップ5穀物生産者すべてが顧客に含まれるなど、ラテンアメリカにおける農業テクノロジーのリーディングカンパニーです。

事業概要

Solinftecは、農業オペレーション全体をリアルタイムで監視・最適化・トレーサビリティ管理するデジタルファーム・オペレーティングシステムと、自律型農業ロボット「Solix」を提供しています。

ALICE AIプラットフォーム

同社の中核技術はALICE AIと呼ばれる統合ファームオペレーション管理システムです。センサー、コンピューター、フィールドディスプレイを農場に展開し、作物・機器・天候・農業資材のデータをリアルタイムで収集・分析します。播種、散布、収穫、搬送などの作業計画と、リアルタイムでの調整を可能にします。

Solix農業ロボット

Solixは完全自律型のソーラー駆動ロボットで、圃場のスカウティング(巡回監視)と精密散布の2つの機能を持っています。ALICE AIと連携し、リアルタイムの圃場データを分析して、雑草が検出された場所にのみピンポイントで除草剤を散布します。1日あたり最大100エーカーの圃場を処理でき、昼夜を問わず自律的に稼働します。

どういう課題をどう解決しているか

農業が抱える課題

世界の食料需要は増加する一方で、耕作可能な農地は限られています。CEOのBritaldo Hernandez氏は「1平方メートルあたりの食料生産を増やしながら、環境への影響を減らす」ことが農業セクター最大の課題だと述べています。また、除草剤の過剰使用は環境汚染と除草剤耐性雑草の増加を招いています。

Solinftecのアプローチ

Solinftecは2つの方向からこの課題にアプローチしています。

まず、ALICE AIプラットフォームによる農場オペレーション全体の最適化です。現在2,700万エーカー以上の農地を管理しており、ブラジル、米国、ラテンアメリカの農家、コーポラティブ、農業小売業者が利用しています。サトウキビ、大豆、トウモロコシ、綿花から、柑橘類、コーヒー、林業まで幅広い作物に対応します。

次に、Solixロボットによる精密散布です。AIが作物と雑草を識別し、雑草がある場所にのみ除草剤を散布するため、除草剤の使用量を最大95%削減(ポストエマージェンス)、乾燥・播種前処理では92%削減を実現しています。

ビジネスモデル

SolinftecはSaaSプラットフォーム(ALICE AI)とロボット(Solix)の2つの収益柱を持っています。ALICE AIは農場管理ソフトウェアとして継続課金モデル、SolixはRobotics-as-a-Serviceモデルで提供されています。

米国での販売は、北米最大級の農業協同組合であるGROWMARKとのパートナーシップを通じて展開しています。インディアナ州ニューリッチモンドにロボティクス製造工場を開設し、米国での生産体制も構築しています。

資金調達の経緯は以下の通りです。

  • 2022年5月:6,000万ドル(Lightsmith Group主導、Unbox Capital、Circularis Partners参加)
  • 2024年:1,000万ドル(Blue Like An Orange Sustainable Capital Fund)
  • 累計調達額:約1億4,700万ドル

今後の計画

  • 米国およびアメリカ大陸全域でのSolixロボット商業展開の拡大
  • ALICE AIプラットフォームの対応作物・地域の拡大
  • インディアナ州の製造施設を活用した北米でのロボット生産体制の強化
  • 持続可能な農業の推進とフードサプライチェーンのトレーサビリティ向上

コメント

Solinftecは2007年設立という長い歴史と、2,700万エーカー以上の管理実績を持つ点で、他のアグテックスタートアップとは一線を画しています。ブラジルのサトウキビ生産者の85%が利用しているという市場シェアは圧倒的です。

注目すべきは、ソフトウェアプラットフォーム(ALICE AI)とハードウェアロボット(Solix)の両方を自社で提供している点です。農場全体のデータ収集・分析から、精密散布による実行まで一貫してカバーするエコシステムは、競合にない強みです。

Solixの除草剤95%削減という実績は、環境規制が強化される中で強力なセールスポイントです。ブラジルでの成功モデルを米国に持ち込む戦略は、GROWMARKとのパートナーシップと製造拠点の確保により、着実に進んでいます。700名以上の従業員と1億ドル超の調達額は、スタートアップの域を超えた規模感を示しています。

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