栽培ヘンプからCBDを抽出し、葉巻やチンキに加工。北米で事業拡大を続ける Hemptown USA を紹介します。

大麻草(ヘンプ)から抽出されるカンナビノイドという物質群には、人体の消化系や免疫、精神などに作用を及ぼすものが見られます。これらのうちカンナビジオール(CBD)はサプリメントとしての利用が条件付きで認められており、葉巻やチンキ、オイルなどに添加されています。

CBDの北米市場は2027年までに161億ドルに達すると考えられており、成長が見込める分野です。本記事で紹介する Hemptown USA は、FDAの認可を受け、ヘンプの栽培から製品の製造販売まで手掛けています。

Hemptown USA 基本情報

住所:US 97035 Oregon Lake Oswego 6400 Rosewood St

CEO:Eric Gripentrog

設立:2014年

従業員数:51〜200人

GMPに準拠したカンナビノイド製品の製造販売

大麻草の栽培から抽出精製・製品化まで

Hemptown USA はアメリカのオレゴン州に本社を構え、大麻草(ヘンプ)の栽培から成分の抽出精製、および製品化までを手掛ける企業です。ヘンプにはカンナビノイドと総称される物質群が含まれており、主に以下の2種類があります。

  • テトラヒドロカンナビノール(THC)
  • カンナビジオール(CBD)

このうちTHCは、幻覚作用や多幸感を引き起こす作用を持ちます。日本では、ヘンプ由来のTHCを含む製品は「大麻取締法」、人工的に合成されたTHCは「麻薬及び向精神薬取締法」で所持・譲渡等が規制されています。

一方CBDは、ヘンプの「成熟した茎」または「種子」から抽出されたものであれば、大麻取締法における「大麻」に該当せず、サプリメントや嗜好品として使われています。Hemptown USA が抽出精製しているのは主にCBDです。1haあたり年間およそ 1200t のヘンプを栽培し、葉巻やチンキなどの製品を製造販売することで、年間およそ3200万ドルの収益を得ています。

Hemptown USA のCBD製品には以下のものがあり、自社ECサイトで販売しています。

  • 葉巻
  • チンキ
  • ガム
  • 錠剤

FDAの認可を受け、cGMPにも準拠

Hemptown USA は アメリカ食品医薬品局(FDA) から製造業者としてのライセンスを受けています。製品の製造工場はcGMPに準拠しており、医薬品レベルでの管理体制を備えています。

カンナビノイド市場の成長とHemptown USA の事業拡大

CBD市場は2027年までに161億ドル

CBD は、人体のエンド・カンナビノイド・システム(ECS)という身体調節機能に作用し、食欲や免疫機能、精神状態などを正常化するという説があります。このため心身の健康を整える機能性成分として、CBDを配合したサプリメントが主に北米で市販されています。

市場調査会社 Research and Markets の調査によると、北米におけるヘンプ由来CBDの市場は、2020年から2027年までの間に年平均27.7%で成長161億ドルに達すると予測されています。

積極的なM&Aで規模拡大

Hemptown USA は、CBD製品の製造・販売業者を積極的に買収し、規模拡大を続けています。2021年までに買収で得た販路を活用すれば、1億ドルの連結利益増を達成できる可能性があるとされています。

希少カンナビノイドのCBG精製にも成功

Hemptown USA は、ヘンプにわずかしか含まれないカンナビゲロール(CBG)という成分の精製にも成功しています。CBGは食欲増進、胃痛の改善、皮膚炎の軽減、骨の成長・形成促進などの機能があるとされている成分です。従来のCBD製品より高付加価値の製品に活かすことで、Hemptown USA の競争優位性が高まるかもしれません。

輸入にあたっての注意

日本へCBD製品を輸入する場合は、原料と含有成分に注意が必要です。ヘンプの「成熟した茎」「種子」以外の部分(葉や花)を原料に用いた場合や、製品中にTHCが含まれている場合は「大麻製品」とみなされ、輸入すると罰則が科されることがあります。CBDサプリメントと称して売られていた製品からTHCが検出された事例も実際にあるため、輸入業者が勝手に判断するのではなく、厚生労働省地方厚生局麻薬取締部への確認が必須です。

まとめ

CBDを配合した葉巻やオイルなどのへンプ製品は、北米で高い成長性が期待されている分野です。 Hemptown USA はヘンプの栽培から製品化まで一貫しておこなう体制をもち、積極的な買収で事業拡大を続けています。栽培から製品化までのノウハウ、cGMPに準拠した生産体制、買収によって拡大した販路など様々な強みを活かして、北米ヘンプ市場の主要プレイヤーとしての地位を確立する可能性があるでしょう。

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