温室内での自律走行型トマト収穫ロボット「GRoW」を開発するMetoMotion社について解説

事業概要:自律走行型トマト収穫ロボットで温室栽培のコストを削減

MetoMotion社は、温室内での作物の栽培にあたり、労働力不足とコストを削減することを目的とした温室で労働集約的なタスクを実行するロボットワーカー「GRoW」を開発しています。最初の「GRoW」は自律走行型のトマト収穫ロボットで、センシング技術によってトマトが収穫どきかどうかを自動で判別し収穫することができます。2016年にOmer Nir氏によってイスラエルを拠点に設立された農業スタートアップで、従業員は1〜10人と推定されます。

Youtube動画:https://youtu.be/7W1Fk6lQdQY

MetoMotion社のロボットを利用することで、収穫に関連する人件費を最大で50%削減し、生産者のROI(投資収益率)は3年未満になると予測しています。

MetoMotion社の収穫ロボット(公式動画より)

年間を通じて野菜を栽培できる温室栽培のニーズは年々高まってきていますが、温室栽培の人件費は生産コストの30%から50%を占めるという課題があり、MetoMotion社のロボットを利用することで生産者はコストの削減と生産効率の向上を実現できます。

ビジネスモデル:温室内でのトマト収穫ロボット「GRoW」を北ヨーロッパ地域に販売

MetoMotion社ではトマト収穫ロボット「GRoW」を製品化し販売しています。MetoMotionでは主に北ヨーロッパのハイテク温室が温室市場全体の約10%を占めると推定しターゲットとしており、1ヘクタールあたり1台のGRoWロボットが導入されると考えると市場の可能性は10億ドルを超えると推測しています。

テクノロジー:最先端のロボット工学と自動化技術が組み込まれた温室ロボット

MetoMotionの温室ロボットワーカーGRoWには、最先端のロボット工学と自動化技術が組み込まれており、野菜の収穫、剪定、モニタリング、受粉といった様々な温室内の作業タスクを実行します。

ロボットは自動で施設内を移動します
3Dカメラで立体的に収穫物を捉えます
2本のアームでトマトを狙い、房ごと収穫します
房のしたからアームを潜らせて器用にカットしています
収穫した房は本体内に収納されます
収量は自動で計測されます

GRoWは、高度な3Dビジョンシステムとマシンビジョンアルゴリズムを組み合わせた技術によって、熟した作物を識別・特定します。その次に、カスタム設計された複数のロボットアームを、収穫に適した位置に調整し、傷を付けないように設計されたロボットのアーム先端部分によって作物の茎から切り取ります。最後に、収穫した作物をロボット内に設置されている箱に格納します。

今後の計画

2019年7月に調達した150万ドルで最初のロボットを商品化しており、ターゲットとしている北ヨーロッパ地域での販売を今後さらに拡大していく計画です。

コメント

温室栽培において生産コストの30%から50%を占めるといわれる人件費を収穫ロボットによって削減できることは農家にとって非常に大きなメリットと言えます。年間を通しての食料供給ニーズが高まる中、より温室栽培での生産効率が高まる収穫ロボットの利用は今後増加することが予想されます。

参考サイト