施設園芸農業をAI技術でサポート。Root AIの収穫ロボットを紹介。

Markets and Markets の調査によれば、農業ロボット市場は2020年に46億ドルの規模があり、2025年までには203億ドル規模にまで達すると予測されています。さらに新型コロナウイルスの感染拡大で労働力確保が困難になったため、農業ロボットの導入が加速する兆しも見えてきました。このような状況下で、着々と投資を集めているベンチャー企業「Root AI」を紹介します。

会社基本情報

住所:Greater Boston Area, East Coast, New England
代表者:Josh Lessing
設立年:2018年
従業員数:15人

施設園芸農業をAI技術でサポート

Root AI は、施設園芸向けの人工知能搭載ロボットを開発している企業です。施設園芸は設備投資がかかり参入が難しそうな印象があるかもしれません。しかしRoot AI は、施設園芸の以下の長所を挙げて、今後の農業は施設園芸へのウェイトを増やしていくだろうと予想しています。

  • 気候変動の影響を受けにくく、なおかつ農薬を削減できます。
  • 狭い面積に設備を集約することで、従来農法に比べて面積あたり収量が20倍に増えます。
  • 水を回収し再利用することで、水の消費量を従来農法より90%削減できます。

収穫ロボット「Virgo」

Root AI がリリースしている収穫ロボットが「Virgo」です。「Virgo」はトマトやキュウリなどの実物野菜を自動で収穫するロボットで、カメラと関節付きアーム(グリッパー)、そしてこれらを制御する人工知能を搭載しています。農場内に敷かれたレールで移動しながら、果実を次々と収穫していきます。

Virgo の長所

  • 高性能の画像解析機能を搭載しており、果実が熟しているかどうかを的確に判断できます。
  • グリッパー(果実を摘み取るロボットアーム)は、入り組んだ蔓の間にも入り込み、果実に傷が残らない適切な握力で摘み取ることができます。さらにこのグリッパーは、様々な種類の作物に適用できます。
  • AIで空間を三次元的に認識し、最適経路でグリッパーを動かす「インテリジェントモーション機能」を備えています。

Virgoの紹介動画

Virgoの紹介動画

公式動画ではVirgoがトマトを収穫する様子が紹介されています。

https://www.youtube.com/watch?v=c-JduOfLEpc

まずカメラがトマトを認識し、収穫すべき個体を決定します

3本の爪のついたグリッパーでトマトを捻るようにして1つづつ収穫します

掴んだトマトを横にあるカゴに落とします。1つのトマトを収穫するのにかかる時間は10秒以内でかなり早く感じます。

夜も問題なく動作します。深夜でも働けるのはロボットの強みです。

グリッパーを変えればキュウリも収穫出来ます。こちらはヘタの部分をカッターで切っています。

いちごもトマトと同じようなグリッパーで収穫しています。

Virgo の稼働状況

2020年8月現在、カリフォルニア州で2台のVirgoが稼働しています。2台というと少なく感じられるかもしれませんが、すでに実際の稼働まで漕ぎ着けている時点で、他の多くのベンチャー企業に先んじています。実生産でVirgoの有用性が広く知られるようになれば、資金調達や販路開拓でより有利になるでしょう。

さらに新型コロナウイルスによる労働力不足で農業ロボットへの需要が拡大しつつあるため、多くのシードファンド(創業間もないベンチャー企業へ投資するファンド)がRoot AI に投資しています。

Root AI の今後の展開

CEOのJosh Lessing氏は、まずは北米でのVirgoの普及を目指しており、その後ヨーロッパへの進出を狙っています。地形や栽培品目の異なる様々な農場で使用されることで、改良が進められていくことが期待できます。

URL

  • Root AI – Join the future of farming https://root-ai.com/
  • Linked in | Root AI https://jp.linkedin.com/company/rootai