機械学習による画像認識で雑草と作物を識別する、FarmWise社の自動除草ロボットについて解説

事業概要

FarmWise社は、自動除草ロボットを開発・販売するアメリカの農業ベンチャー企業です。2016年に、アメリカのカリフォルニア州を拠点に設立されました。社員数は50〜100人と推定されています。MIT、スタンフォード大学、コロンビア大学の農業や人工知能の専門家25人のチームによってサポートされています。

FarmWise社は、機械学習によって植物を分析した上で雑草を摘み取る自動除草ロボットを開発し、2019年はじめに商業化しました。同社は、各植物に対して適切なケアを施し、収穫量と農家の利益を増やすとともに、環境への悪影響を減らすことをミッションとしています。

ビジネスモデル

現在FarmWise社は、カリフォルニアとアリゾナで野菜の生産者に対して、同社のロボットを活用した除草サービスを提供しています。葉物野菜、カリフラワー、ブロッコリーなど、様々な作物に対応しており、除草サービスによって得られたデータは栽培者に提供されます。

課金モデルは面積ごとの従量課金制になっています。

テクノロジー

FarmWise社の自動除草ロボットは、機械学習によって植物を詳細に調査・分析した上で雑草を摘み取ります。この技術により、除草剤として使われる有害な化学物質の利用を減らすことができます。

機械学習、ロボット工学、機械工学など複数の専門分野にわたる知識をもとに、植物認識アルゴリズムと多目的自律プラットフォームを独自に開発しています。AIに対応した自立型ロボットであり、除草に加えて様々な機能を搭載することで、今後農業の多様な課題への対応が可能となるよう設計されています。

ロボットが畑を通過するときロボットは各作物の中心点を探し、何百万もの画像から独自に植物を検出します。栽培している植物と雑草とを区別し、雑草のみを取り除くことができるため、作物に傷をつけることなく除草が可能です。

今後の計画

FarmWise社は、2019年9月に1450万ドルの資金調達を完了しています。この資金を基にロボットエンジニアリングと運用チームをさらに成長させるとともに、植物の検出や作動機能についての研究開発への取り組みを強化する予定です。将来的には、作物の健康状態を管理し、個々の作物のニーズに応じた処置を施せるような機能の搭載を目指しています。

コメント

Transparency Market Researchによると、農業用ロボットの世界市場は、2016年の10億1000ドルから2024年には57億ドルに成長し、24.1%の年平均成長率になると予測されています。世界中で農業に従事する労働者の確保が困難になってきており、また無農薬・減農薬の野菜の需要が高まる中、植物を検出する高性能なFarmWise社の自動除草ロボットは、今後さらに注目されることが予想されます。

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