アームを使ったりんご収穫ロボット AbundantRobotics社

今回は、AbundantRobotics社のリンゴ収穫ロボットについて紹介する。従来のリンゴ収穫は、果皮色を判断しながら手作業で行うが、AbundantRobotics社の新技術により、圧倒的な効率化がはかれる可能性がある。

AbundantRobotics社の概要

 AbundantRobotics社は、アメリカ・サンフランシスコのシリコンバレーで、2016年に設立されたスタートアップ企業だ。なお、クボタ(4)やヤマハ発動機(5)といった日本企業からも出資をうけている。創設者は、Curt Salisbury氏、Dan Steere氏、Michael Eriksen氏の3名である。

AbundantRobotics社の事業

 AbundantRobotics社は、トラクター型の自立走行車両と、画像認識技術を利用することで、自動でリンゴを収穫するロボットの開発を行っている。自動走行中に、果皮色から“熟期”であると判断された果実を見つけた場合、その果実に向け専用のアームを延ばし、リンゴを吸引することで収穫を行う技術を開発した。このことで、人の手による“熟期の判断”や“収穫した果実の運搬”の手間を省くことが可能となる(1)(動画)。

https://www.youtube.com/watch?v=aijzVv6UeLQ

 慣行農業では一般に、目視によりリンゴの果皮色を判断、人の手により1つ1つ収穫が行われていることから効率に劣る。また、樹高が高い場合には、はしごを昇り降りする必要が出てくることや、収穫後の果実の運搬において、一部人力を頼る部分もある。このことから、果実の収穫期になると、人手不足や重労働が問題となっている。

 また、果樹栽培における、収穫の効率化は、大きな研究テーマであり、他のアプローチも考えられている。カンキツ類では、“キャノピーシェイカー”と呼ばれる、主幹を揺さぶり、果実を落下させ収穫する技術が導入されている。リンゴでも同様の研究は行われているが、幹へダメージを与えてしまう事や、確実に収穫しきることができないなどの問題点が依然残っている。

 AbundantRobotics社のリンゴ収穫ロボットを利用することで、熟期を確実に判断し、効率的に収穫することができる可能性がある。 

収穫ロボットを後方から見た様子
筒状のアームで吸い取るように1つ1つ収穫する。

 なお、ニュージーランドのT&G Global社では、実際にこのロボットを導入した。これまで、T&G Global社では、収穫期における労働者不足から、すべての果実を収穫しきることができない問題点があった。しかし、現在では、AbundantRobotics社の、リンゴ収穫ロボットを併用することで、昼間は人の手により、夜間はロボットにより、24時間体制で確実に収穫を行うことができるようになった(2)。このように、大規模農場における利活用はすでに始まっている。

コメント

 果樹栽培における、収穫の自動化は、果実ごとに熟期がばらつくことから困難な課題であった。また、水分含量が一般に多いことから、収穫作業は、重労働になりがちである。AbundantRobotics社のリンゴ自動収穫ロボットは、これらの問題を一挙に解決する可能性がある。なお、日本国内でも、同様のロボットを開発する動きがあり(3)、今後注目の分野である。

 一方、このような自動収穫ロボットにも、弱点は考えられる。果樹栽培は園地ごとに、樹の植栽密度や樹高が異なるうえに、1度植栽した後は、十数年~数十年にわたり生産に用いることから、機械に合わせた改植も難しい側面もある。ニーズは大きいことから、収穫自動化ロボットの開発は今後も続くと考えられるが、幅広く使用されるためには、どのような園地でも使用できる、汎用性の高いロボットが開発できるかが、キーポイントになるのではないか。

参考サイト

  1. Self-Driving Harvesting Robot Literally Suctions the Apples off Trees | Digital Trends https://www.digitaltrends.com/cool-tech/apple-suctioning-robot-new-zealand-orchard/
  2. Abundant T&G Announcement March 2019 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=aijzVv6UeLQ
  3. A robot apple-picker is now harvesting fruit in New Zealand orchards | MIT Technology Review https://www.technologyreview.com/2019/03/28/239350/a-robot-apple-picker-is-using-machine-vision-to-harvest-fruit-in-new-zealand/
  4. 20年度までにリンゴなど無人収穫ロボ開発へ 農水省所管の研究機関 – SankeiBiz(サンケイビズ) http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160718/mca1607180500008-n1.htm
  5. 米国のAgTechスタートアップ企業に出資~リンゴ自動収穫ロボット開発及び収穫サービスを手掛けるAbundant Robotics社~|2020年|ニュースリリース|株式会社クボタ https://www.kubota.co.jp/new/2020/20-03j.html

米国のスタートアップ企業「Abundant Robotics」へ出資 ~果菜農業での自動化推進を通じた省人化・生産性向上に貢献~ – 広報発表資料 | ヤマハ発動機 https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2020/0317/abundant.html

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