植物の根に直接水と養分が散布される「点滴灌漑」技術を生み出したNETAFIM社について解説

事業概要:点滴灌漑で水の無駄のない効率的な農業を実現する

NETAFIM社は、植物の根にチューブから水を直接少量ずつ与える「点滴灌漑という革新的な農業技術を生み出したイスラエルを拠点とするアグリテック企業です。1965年に創設されたパイオニアであり、世界をリードする灌漑会社として、食糧、水、土地不足を解決するため、スマート灌漑の普及をミッションとしています。

動画:Drip Irrigation Systems | Netafim – https://go.shr.lc/2VqZ1Pb

ビジネスモデル:点滴灌漑を実現する自社製品販売とプロジェクトによる普及

NETAFIM社では、ドリッパーとドリップライン、スプリンクラー、フィルター、バルブ、パイプ、コネクターといった点滴灌漑に必要な製品や、作物管理技術、自動システムといったハイエンドなソリューションを提供しています。またこれらの製品を利用ながらNETAFIM社と共にパートナーシップを組み適切なスマート灌漑を適用させるためのプロジェクトを行なっています。点滴灌漑については当サイトでも「点滴灌漑とは?」という記事で紹介しました。

NETAFIM社では、農業に関する専門知識、高度なエンジニアリング機能、優れた実行力によって農家が確実に適切なスマート灌漑を実現できるようサポートしています。

テクノロジー:水を栄養素が直接根本に届く点滴灌漑技術

NETAFIM社のスマート灌漑の主な技術である「点滴灌漑」は、水と栄養素を適切なタイミングで適切な量を直接植物の根に届け、効率的な植物の成長を実現します。そのため過剰に水を使用することが無く、水が表面に流出したり地下深くに浸透したりすることが無くなります。点滴灌漑により、農家は水、肥料、エネルギー、作物保護製品を節約しながら、より多くの作物を生産することができます。

スマート灌漑システムは、水を吸収する土壌の能力と植物の消費量に従って設計されており、水が植物に効率的に吸収されるようになっています。その結果より少ない水量で効率的に植物を成長させることができます。

水と栄養素は「ドリッパー」と呼ばれる小さなユニットを備えた「ドリッパーライン」というパイプによって農場全体に送られます。

ドリップライン(公式サイトより)

各ドリッパーは水と肥料を含む水滴を放出し、結果として水と栄養素を各植物の根に均一的に散布することが可能です。

ドリッパーのイメージ図(公式動画より):正確な灌漑のため単なる散水チューブに穴を開けたものではないのがポイント

大量の水を短時間で散布する従来の方法では、土壌が極端に飽和状態になり、水と空気のバランスが悪化する原因となっていました。また、過剰な水は有益な栄養素が浸出する原因となり、作物のための栄養素が少なくなるという問題点がありました。そういった課題に対し、スマート灌漑システムは適切な量とタイミングで水を散布することで土壌の空気と水のバランスを完璧なものとし、必要な場所に栄養素が行き渡るように設計されています。

今後の計画

NETAFIM社は2020年8月に、インドのカルナータカ州で3つの灌漑プロジェクトのための8500万ドルの契約を結んでおり、今後2年間に渡るプロジェクトの展開と5年間の技術的・農学的なサポートを行なっていく予定です。

NETAFIM社の点滴灌漑ソリューションはシンプルで手頃な価格を強みに毎年350以上のプロジェクトが40カ国以上で展開されており、今後もよりグローバルにスマート灌漑システムを普及させていく予定です。

コメント

NETAFIM社では既に世界中で数多くのプロジェクトを実行しており、今後さらに点滴灌漑という画期的かつ効率的な水と栄養素の散布によって、世界的な食糧と水不足の問題が解決されることが期待されます。

参考サイト