Miraterra Soil:土壌 DNA×ラマン分光×AIで農地の「見えない力」を可視化するカナダ発スタートアップ

会社基本情報

Miraterraの公式サイト
出典:Miraterra
  • 会社名:Miraterra Technologies Corporation
  • 本社:カナダ・バンクーバー
  • 米国拠点:アイオワ州エイムズ
  • 設立:2023年1月(Terrameraからスピンアウト)
  • CEO:Nate Kelly
  • 創業者:Karn Manhas
  • 従業員:約50名
  • 累計調達:約CA$40M(約US$29M)

事業概要

Miraterraは、土壌の化学的・物理的・生物学的特性を統合的に計測し、AIで解析するプラットフォームを提供しています。従来の土壌検査はN-P-KやpHなど限られた化学指標の測定にとどまっていましたが、土壌の生産性を左右する最も重要な要素の一つが微生物群集です。Miraterraは化学分析と生物学的分析(土壌DNA解析)を単一のプラットフォームで統合した世界初の商用サービスを提供しています。

プロダクト構成

Digitizer(ラマン分光計測デバイス)

ラマン分光法を用いて土壌の化学的・物理的特性を非破壊で測定します。有機炭素、有機物含量、pH、タンパク質、糖質、窒素含有量、食品の汚染マーカーなどを計測可能です。

土壌DNAライブラリー

2025年夏にTrace Genomics(米スタンフォード大学発)の資産を買収して獲得した、世界最大規模の独自土壌DNAライブラリーです。菌根菌の密度、病原菌のリスク、窒素固定菌の存在量などを数値化できます。

AIプラットフォーム

ラマン分光・ DNA解析・衛星画像/LIDARの3層を機械学習で統合し、農家やアグロノミストにアクション可能な提案を出力します。

課題と解決策

従来の土壌検査は化学分析と生物分析が分断されていました。Trace Genomicsのような土壌DNA解析の先行企業は、生物データ単独では事業化が困難でした。Miraterraはラマン分光(化学)とDNA解析(生物)を同一プラットフォームで統合することでこの問題を解決しています。

ビジネスモデル

  • B2B:北米最大級の農業試験所にプラットフォームを提供
  • 直接サービス:ECサイト「Trace by Miraterra」で農家向け土壌検査も直販

資金調達の経緯

  • 2023年1月:シード(M USD、At One Ventures)
  • 2023年10月:助成金(CAM)
  • 2025年夏:Trace Genomics資産買収
  • 2026年3月:シードエクステンション(CAM、超過達成)

At One Venturesがリード。S2G Investments、Sitka Foundation、iSelectが既存投資家、Farm Credit Canadaが新規参加。

今後の計画

  • 次世代プラットフォームの商用展開
  • 計測対象を土壌から植物・食品にまで拡大
  • グローバルパートナーシップ拡大

コメント

Miraterraのアプローチは、「土壌の微生物を可視化する」という、経験と勘に頼っていた土壌管理をデータ駆動型に転換するものです。日本では「みどりの食料システム戦略」のもと、土壌の有機炭素含有量の増加や生物多様性の保全が政策目標として掲げられていますが、土壌微生物の定量的なモニタリング技術はまだ一般的ではありません。Trace Genomicsの失敗(生物データ単独では事業化困難)を教訓に、化学・生物・地理空間データの統合で差別化を図る戦略は合理的です。

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