会社基本情報
| 会社名 | Regrow Ag(旧FluroSat) |
|---|---|
| 所在地 | アメリカ合衆国 ニューハンプシャー州ダーラム |
| 設立 | 2017年(FluroSatとして創業、2021年にDaganと合併しRegrow Agに改称) |
| CEO | Anastasia Volkova |
| 累計資金調達額 | 約6,000〜7,700万ドル |
| 公式サイト | https://www.regrow.ag/ |
事業概要
Regrow Agは、再生型農業の効果をAIで測定・報告・検証(MRV: Measurement, Reporting, Verification)するプラットフォームを提供する企業です。食品・飲料企業や穀物トレーダーがサプライチェーン上のScope 3排出量を把握し、削減目標を達成するためのツールとして活用されています。

同社のプラットフォームは17か国で利用されており、衛星画像とAIモデルを組み合わせて土壌炭素量の変化やGHG排出量を圃場単位で推定します。2024年にはAIによる農場レベルの計画最適化ツール「PlanAI」をリリースしました。
課題と解決策
Scope 3排出量の可視化という難題
食品・飲料業界の多くの企業がカーボンニュートラル目標を掲げていますが、排出量の大部分を占めるScope 3(サプライチェーン排出)の測定は極めて困難です。原料調達先の農場は世界中に分散しており、それぞれの農法や土壌条件が異なるため、従来の方法では正確な排出量把握がほぼ不可能でした。
リモートセンシングとAIによるMRV
Regrow Agは、衛星画像データとAIモデルを統合し、個別の農場を実地訪問することなく土壌炭素の変化やGHG排出量を推定する技術を開発しました。これにより、数千〜数万の農場にまたがるサプライチェーン全体の環境インパクトをスケーラブルに測定できるようになりました。PlanAIは農家に対して具体的な農法改善提案を行い、再生型農業への移行を促進します。
ビジネスモデル
Regrow AgはB2B SaaSモデルを採用しており、食品・飲料メーカー、穀物トレーダー、農業関連企業にプラットフォームをサブスクリプション形式で提供しています。顧客企業は、自社サプライチェーン上の農家の環境パフォーマンスを可視化し、持続可能性レポートやESG情報開示に活用します。
2025年には、シュナイダーエレクトリックの投資部門であるSE VenturesからのCVC投資を獲得しました。また、英国の食品素材大手Tate & Lyleとのパートナーシップにより、フランスで約5,000エーカーの農地を対象としたプログラムを展開しています。さらに、USDAが主導する7億ドル規模のリジェネラティブ・パイロットプログラムにも参画しています。
今後の計画
Regrow Agは、PlanAIの機能拡充を通じて、MRV(測定・検証)だけでなく農法改善の提案・実行までをワンストップで提供するプラットフォームへの進化を目指しています。USDAのリジェネラティブ・パイロットプログラム(7億ドル規模)への参画は、同社の技術が公的な農業政策にも組み込まれつつあることを示しています。
今後は、対応国・地域の拡大に加え、カーボンクレジットの生成・検証機能の強化も進める見込みです。企業のESG報告義務の厳格化に伴い、信頼性の高いMRVプラットフォームへの需要は今後さらに高まると予想されます。
コメント
Regrow Agは、再生型農業の「見える化」において最も包括的なプラットフォームを構築している企業の一つです。17か国での展開実績は、同社の技術がグローバルに通用することを証明しています。
同社のリモートセンシング技術は、CropXの圃場レベルの土壌センサーデータと組み合わせることで、衛星データの精度をさらに向上させる可能性があります。また、Cropwiseのような営農管理プラットフォームとの連携により、再生型農業への移行と営農効率の最適化を同時に実現するエコシステムが構築できるでしょう。
EU CSRDなど国際的なサステナビリティ報告規制の強化により、Scope 3排出量の正確な開示が求められる企業が急増しています。こうした規制環境の変化は、Regrow Agにとって強力な追い風となるはずです。