農業ロボットメーカー一覧|除草・収穫・運搬・自律走行ロボットを徹底比較

農業ロボットの市場は急速に拡大しており、2025年時点で約177億ドル規模に成長しています。労働力不足の深刻化や精密農業への需要増加を背景に、除草・収穫・運搬・自律走行など多様な種類のロボットが世界中のメーカーから登場しています。本ページでは、国内外の主要な農業ロボットメーカーを種類別に一覧化し、それぞれの特徴を比較・解説します。

農業ロボットの種類

農業ロボットは、担当する作業工程によって大きく以下の5種類に分類できます。

  • 除草ロボット:AIやカメラで雑草を識別し、機械的または化学的に除去します。除草剤の使用量を大幅に削減できる点が注目されています
  • 収穫ロボット:コンピュータビジョンとロボットアームで果実や野菜を自動収穫します。イチゴ、キノコ、アスパラガスなど作物ごとに専用機が開発されています
  • 運搬ロボット:圃場内での資材や収穫物の自動運搬を担います。自律走行で圃場と集荷場を往復するタイプが増えています
  • 自律走行トラクター・GPS誘導システム:既存のトラクターに後付けで自動運転機能を追加するキットや、はじめから自律走行に対応した車両があります
  • アシストスーツ:着用型の補助装置で、収穫作業や運搬作業時の身体的負担を軽減します。日本メーカーが多く手掛けています

メーカー比較表

以下の表は、主要な農業ロボットメーカーを国・用途・対象作物別にまとめたものです。

メーカー名 種類 対象作物・用途 備考
Odd.Bot オランダ 除草 露地野菜全般 Maverickロボット。2mm精度で除草
FarmDroid デンマーク 除草・播種 テンサイ、タマネギ等 ソーラー駆動。播種と除草を1台で実行
Naïo Technologies フランス 除草 野菜、ブドウ園 Oz、Dino、Tedの3機種展開
FarmWise アメリカ 除草 レタス、ベリー類等 AI駆動の選択的除草
Blue River Technology(John Deere) アメリカ 除草(精密散布) トウモロコシ、大豆 See & Spray。2025年に500万エーカー以上で稼働
Ecorobotix スイス 除草(精密散布) 畑作物全般 AVOロボット。ソーラー駆動
和同産業 日本 草刈り 果樹園、法面等 KRONOS(クロノス)。GPS搭載モデルあり
AGROBOT スペイン 収穫 イチゴ 複数アームで同時収穫
4AG Robotics カナダ 収穫 キノコ 既存棚に取付可能。$29M調達済み
Cerescon オランダ 収穫 アスパラガス Sparter。地中検知システム搭載
Harvest CROO Robotics アメリカ 収穫 イチゴ 16台のロボット搭載。商業的実用性を実証
FFRobotics イスラエル 収穫 リンゴ 12アーム構成。人の10倍速で収穫
Saga Robotics ノルウェー 病害防除・データ収集 ブドウ、イチゴ Thorvald。UV-C照射で防除
Iron Ox アメリカ 栽培管理(植物工場) 葉物野菜、イチゴ Grover(運搬)・Phil(栽培管理)の2機種
Bluewhite イスラエル 自律走行 果樹園、ブドウ園 既存トラクターへの後付けキット。RaaS提供
Sabanto アメリカ 自律走行 畑作全般 John Deere・Kubota等に対応する後付けキット
Monarch Tractor アメリカ 自律走行 果樹園、ブドウ園 電動自律走行トラクター
eFarmer(FieldBee) オランダ GPS誘導 畑作全般 RTK-GPS誘導システム。2cm精度
SwarmFarm Robotics オーストラリア 自律走行(汎用) 畑作全般 群ロボット制御。除草剤95%削減
クボタ 日本 自律走行・アシストスーツ 水稲、畑作 自動運転トラクター・コンバイン。ラクベスト
ヤンマー 日本 自律走行 水稲、畑作 自動運転トラクター
イノフィス 日本 アシストスーツ 農作業全般 マッスルスーツシリーズ。最安2.2万円から

種類別の詳細

除草ロボット

Odd.Bot Maverick 除草ロボット
出典:Odd.Bot
FarmDroid 除草ロボット ソーラー駆動
出典:FarmDroid

除草作業は農業の中でも特に人手と時間がかかる工程です。近年はAIとコンピュータビジョンの進歩により、作物と雑草を高精度で識別して除去する自律型ロボットが続々と登場しています。

Odd.Bot(オランダ)は「Maverick」という除草ロボットを開発しています。1ヘクタールあたり24万本以上の雑草を2mm精度で除去でき、バッテリー交換式で昼夜を問わず稼働します。農薬を一切使用しない機械式除草のため、土壌環境や生物多様性の保全にも貢献します。2025年の生産分は完売し、2026年分も予約がほぼ埋まっているほどの人気です。

詳しくは:Odd.Bot社の除草ロボット紹介記事

FarmDroid(デンマーク)は、播種と除草の両方を1台でこなすソーラー駆動のロボットです。播種時に正確な位置を記録し、その情報をもとに除草を行うため、カメラによる画像認識に頼らない独自の方式を採用しています。カーボンニュートラルな運用が可能です。

詳しくは:FarmDroid社の紹介記事

Naïo Technologies(フランス)は、農業用除草ロボットの先駆的企業です。小規模菜園向けの「Oz」、大規模畑作向けの「Dino」、ブドウ園専用の「Ted」と、3種類のロボットを展開しています。Tedは1日最大5ヘクタールのブドウ園を処理でき、GPS RTKナビゲーションによる高精度な自律走行が可能です。

FarmWise(アメリカ)は、AIを活用した選択的除草ロボットを開発しています。大規模農場での運用に特化しており、2024年にはイチゴ大手のDriscoll’sと提携してベリー農場への展開を進めています。

詳しくは:FarmWise社の紹介記事FarmWise社の自動除草ロボット詳細

Blue River Technology(アメリカ、John Deere子会社)は、「See & Spray」システムを開発しています。36台のカメラで1秒あたり2,500平方フィート以上をスキャンし、作物と雑草をリアルタイムで識別して雑草だけにピンポイントで除草剤を散布します。2025年には500万エーカー以上の農地で使用され、非残留性除草剤の使用量を約50%削減しています。

詳しくは:Blue River Technology社の紹介記事

Ecorobotix(スイス)は、ソーラー駆動の自律型精密散布ロボット「AVO」を開発しています。超精密な散布技術により、農薬の使用量を大幅に削減しながら効率的な除草を実現します。

和同産業(日本)は、ロボット草刈機「KRONOS(クロノス)」を販売しています。MR-300は最大3,000平方メートル、GPS搭載の上位モデルMR-400は最大4,000平方メートルに対応します。ブラシレスモーター駆動でCO2排出ゼロ、静音で運転可能です。

詳しくは:和同産業 KRONOSの紹介記事

除草ロボット全般については、こちらの記事もご参照ください:除草ロボットとは?草刈機との違いや国内で買えるメーカー

また、ドイツ発のブドウ樹専用除草ロボットも注目です:ドイツ発ブドウ樹除草ロボットの紹介記事

FarmWise 農業ロボット AI除草
出典:FarmWise

収穫ロボット

収穫ロボットは、コンピュータビジョンとロボットアームを組み合わせて果実や野菜を自動的に収穫するシステムです。作物ごとに形状や硬さが異なるため、メーカーごとに特定の作物に特化した開発を行っています。

AGROBOT(スペイン)は、イチゴ収穫に特化したロボットを開発しています。複数のロボットアームを搭載し、コンピュータビジョンで果実の色やサイズから熟度を判定して収穫します。

詳しくは:AGROBOT社のイチゴ収穫ロボット紹介記事

4AG Robotics(カナダ)は、キノコの完全自動収穫ロボットを開発しています。既存の栽培棚にそのまま取り付けられるため、農場側のインフラ変更が不要です。ビジョンガイドによる自律型で、2024年にはCAD4,000万ドル(約29百万米ドル)のシリーズB資金調達を完了しています。

詳しくは:4AG Roboticsの紹介記事

Cerescon(オランダ)は、アスパラガス収穫ロボット「Sparter」を開発しています。特許取得済みの地中検知システムにより、地表に出る前のアスパラガスを検出して最適なタイミングで収穫する独自の技術を持っています。

詳しくは:Cerescon社のアスパラガス収穫ロボット紹介記事

Harvest CROO Robotics(アメリカ)は、大規模イチゴ農場向けの収穫ロボットを開発しています。GPS搭載の自走式車両に16台のロボットが搭載されており、LiDARとステレオカメラ、AIを使って熟したイチゴを識別・収穫します。2025年には人間の収穫速度に匹敵する商業的実用性を実証しました。

FFRobotics(イスラエル)は、リンゴ収穫ロボット「FFRobot」を開発しています。12本のロボットアームで人間の10倍の速度での収穫が可能とされており、果実を傷つけない手摘みプロセスを再現しています。

Saga Robotics(ノルウェー)は、「Thorvald」というモジュール式農業ロボットプラットフォームを開発しています。UV-C光照射によるうどんこ病防除が主要機能で、2025年シーズンにはアメリカとイギリスで150台以上が稼働し、約1,300エーカーのブドウ園を処理しました。稼働率97%を達成し、自律走行距離は20万kmに達しています。

詳しくは:Saga Robotics社のThorvald紹介記事

その他にも、カラーピーマンやチェリートマトなど、日本発の収穫ロボット研究も進んでいます。

自律走行トラクター・GPS誘導

自律走行トラクターは、既存のトラクターに後付けするレトロフィットキットと、最初から自律走行に対応した新規車両の2つのアプローチがあります。

Bluewhite(イスラエル)は、既存のトラクターに後付けで自律走行機能を追加するキットを提供しています。「Robots-as-a-Service(RaaS)」モデルで、果樹園やブドウ園での利用に特化しています。CNH Industrialの New Hollandとの提携も発表されています。2024年には3,900万ドルの資金調達を完了しました。

詳しくは:Bluewhite社の紹介記事

Sabanto(アメリカ)は、John Deere、Fendt、Kubotaなどの既存トラクターを自律走行化するレトロフィットキットを開発しています。オペレーターが運転席に座ることなく、圃場作業を完了できます。

Monarch Tractor(アメリカ)は、電動の自律走行トラクターを開発・製造しています。果樹園やブドウ園での利用を想定しており、完全電動による排出ガスゼロと、データ収集・分析機能を兼ね備えています。

eFarmer / FieldBee(オランダ)は、RTK-GPSを利用したトラクターナビゲーションシステムを提供しています。手動ガイダンスの「PowerGuide」から自動操舵の「PowerSteer」まで、段階的に導入できるのが特徴です。2cm精度のRTK測位に対応しています。

詳しくは:eFarmer社のFieldBee紹介記事

SwarmFarm Robotics(オーストラリア)は、軽量の自律走行ロボット「SwarmBot」を群(スワーム)で制御する技術を開発しています。250台以上のロボットが1,000万エーカー以上の農地で稼働しており、除草剤使用量を最大95%削減する実績を持っています。2025年には3,000万ドルのシリーズB資金を調達し、北米市場への進出を進めています。

クボタ(日本)は、自動運転トラクターやコンバインを実用化しており、2024年には世界初の無人自動運転コンバインを市場投入しました。2026年をめどに遠隔監視による完全無人運転農機の実用化を目指しています。

ヤンマー(日本)も自動運転トラクターを製品化しており、収穫量の可視化機能付きコンバインなど、先進的なスマート農機を展開しています。クボタとともに日本のスマート農業をリードする存在です。

アシストスーツ

農業用アシストスーツは、着用することで作業者の身体的負担を軽減する補助装置です。特に日本では、高齢化が進む農業従事者の作業負担軽減のため、多くのメーカーが製品を開発しています。

イノフィス(日本)は、東京理科大学発のスタートアップで、「マッスルスーツ」シリーズを展開しています。代表製品の「マッスルスーツ エブリィ」は空気圧式で電気やモーターを使用せず、本体重量3.8kgと軽量です。2024年には最安モデル「Soft-Power EASY-LIFT」を税込22,000円・重量310gで発売し、個人農家でも手が届きやすい価格帯を実現しました。

クボタ(日本)の「ラクベスト」は、腕を上げたままの作業を支援するアシストスーツです。ブドウや梨などの棚栽培で、腕を上げて行う剪定・収穫作業時の肩や腕の負担を軽減します。

ATOUN(日本)の「MODEL Y」は、腰への負担を軽減するパワードスーツです。モーター駆動で作業者の動きに合わせた柔軟なアシストが特徴です。

CYBERDYNE(日本)は、装着者の神経信号を読み取って動作をアシストする「HAL」シリーズを開発しています。医療・介護分野で実績があり、農業分野への応用も進んでいます。

詳しくは:農業用アシストスーツの最新動向と選び方

植物工場・施設園芸ロボット

Iron Ox(アメリカ)は、完全自律型の水耕栽培施設を開発しています。運搬ロボット「Grover」が450kgの植物モジュールを自動搬送し、栽培管理ロボット「Phil」が植え付けを2分以内で完了します。LiDARとカメラで施設内を自律走行し、水耕栽培の大規模運用を可能にしています。

詳しくは:Iron Ox社の紹介記事

国内で購入可能な農業ロボット

日本国内で実際に購入・導入できる農業ロボットをまとめました。農林水産省のスマート農業実証プロジェクトで検証済みの機種も含まれています。

自律走行トラクター・コンバイン

  • クボタ 自動運転農機シリーズ:自動運転トラクター、田植機、コンバインを製品化済み。2024年には無人自動運転コンバインを投入。農機販売店を通じて購入可能
  • ヤンマー 自動運転トラクター:自動運転トラクターおよびスマート農機シリーズを展開中。全国のヤンマー販売店で取り扱い

草刈りロボット

  • 和同産業 KRONOS(クロノス):MR-300(最大3,000平方メートル対応)およびGPS搭載のMR-400(最大4,000平方メートル対応、本体511,500円)。全国の農機具販売店で購入可能

アシストスーツ

  • イノフィス マッスルスーツシリーズ:マッスルスーツ エブリィ、Soft-Power EASY-LIFT(税込22,000円)など。オンラインショップおよび東京・神楽坂のショールームで購入可能
  • クボタ ラクベスト:果樹の棚栽培向けアシストスーツ。クボタ販売店で取り扱い
  • ATOUN MODEL Y:腰部アシストスーツ。オープン価格

農林水産省は2025年度にスマート農業関連で190億円の予算を計上しており、2031年度までにスマート農業技術の導入面積比率50%を目標としています。各種補助金制度の活用により、導入コストを抑えることも可能です。詳しくは農林水産省のスマート農業ページをご確認ください。

まとめ

農業ロボットは、除草・収穫・運搬・自律走行・アシストスーツと多岐にわたる分野で急速に進化しています。2025年時点での農業ロボット市場は約177億ドル規模で、2030年には562億ドルに達すると予測されています。

海外メーカーが先行する除草ロボットや収穫ロボットの分野では、Odd.Bot、FarmDroid、4AG Roboticsなどの専業スタートアップが実用レベルの製品を市場投入しています。一方、日本ではクボタやヤンマーを中心に自律走行トラクターの実用化が進んでおり、アシストスーツではイノフィスが低価格帯の製品で普及を加速させています。

導入を検討する際は、自社の圃場規模、対象作物、予算に応じて最適なロボットを選定することが重要です。各メーカーの公式サイトや、当サイトの個別企業紹介記事も合わせてご参照ください。

参考URL