養蜂はAIとネットで自動管理の時代に: Beewise

今回は、Beewise社による、養蜂の自動化ロボットについて紹介します。従来の養蜂では、温湿度管理から病害虫の防除まで、多くの人の手を要します。今回のBeewise社の新技術により、養蜂を効率的に行えるようになる可能性があります。

Beewise社の概要

Beewise社は、イスラエル・HaZafonにおいて、2018年に設立された企業で、Saar Safra氏がCEOを務める、数十名規模の新興企業です。養蜂を完全に自動化するロボットの開発を目指しています(1)。 

Beewise社の事業

Beewise社は、養蜂の自動化を目指していますが、養蜂は多くの課題がある産業でもあります。

Beewiseのコンテナ(公式サイトより)

従来の養蜂における課題としてまず、腐蛸病、チョーク病、バロア病などが問題となっています。これらの病気は、ミツバチの群れの崩壊に直結する病気です。また、群れの維持・拡大には、女王バチの管理がポイントとなります(2)。これらに対して現状では、農薬の散布や給餌により、養蜂家が自身の手で管理を行う必要があります。また、これらの管理は、養蜂家の経験に基づくため、新規参入への障壁となる可能性もあります。

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 Beewiseのダッシュボード 複数の箱を管理できる(公式サイトより)

Beewise社の養蜂自動化ロボットは、これらの問題を解決できます。例えば、バロア病とは、ヘギイタダニの吸血による羽化不全、細菌感染およびウイルス媒介により蜂群に大きな影響を及ぼす感染症のことを指しますが(3)、内部の害虫(ヘギイタダニ)を監視することで、必要なときに必要なだけ農薬を散布し、感染拡大を防止するとともに、使用する農薬の総量も減らすことが可能です。また女王バチの発生に伴う、群れの分割についても、発生条件を自動調整することで、群れの分割を自動的に防ぐことも可能です。これら以外にも、温湿度の自動管理機能や、ハチミツ収穫の自動化も可能で、養蜂家は、遠隔的でミツバチの世話・管理が可能となります。

コンテナ内部の様子(公式サイトより)

また、ミツバチは、ハチミツを得るのみでなく、他家受粉が必要な作物の生産における、ポリネーターとしての役割も重要です。一般に、養蜂家からミツバチを購入もしくは借り受け、受粉を行うことになりますが、頻繁な管理が困難なことから、まれにコロニーが崩壊している例があります。Beewise社の養蜂自動化ロボットを導入した場合、常に自律的な管理を行うことから、ミツバチを死から守ることが可能となるとともに、受粉作業を安定的に行えることから、食糧生産の効率化に寄与することも可能です(4)。

コメント

現在、世界中でミツバチの大量死が問題となっており、その原因は寄生虫や病原体などの感染による疾病であると考えられています。また、ミツバチに寄生する、ヘギイタダニの被害は、管理不良や栄養不足などのストレスにより、発生が助長させると報告されています(5)。今回紹介したような、ロボットの導入により、適切な管理が可能になることは、病害虫の被害を予防するために、一定の効果をあげる可能性があります。また、ミツバチの役割としては、ハチミツを得るのみでなく、他家受粉が必要な作物での、ポリネーターとしての役割も重要です。今回紹介した技術は、今後のミツバチ資源を守っていくため、有用な技術となりえると考えられます。

参考サイト