薬剤や農薬に頼らずに雑草や菌類を死滅させるスチーム機器を開発するSoil Steam社について解説

事業概要

Soil Steam社のホームページ

Soil Steam社は、薬剤や農薬に頼らずに雑草や菌類を死滅させるスチーム機器を開発する農業テクノロジー企業です。ノルウェーを拠点に、2016年に設立されました。社員は17名程度です。

FAOによると、世界の土壌の33%はすでに劣化しており、持続不可能な農法は土壌汚染の大きな原因となっています。2050年までに人口が90億人に達すると予想される中、農薬を含む化学物質の過剰使用は、作物の収量と品質を低下させ、食糧安全保障に影響を与える脅威となっています。

そのような現状から、農薬や除草剤、化学物質の利用削減に対する意識は世界中で高まってきており、環境に配慮した持続可能な生産のニーズが高まってきています。そのためには、土壌中の雑草、種子、真菌、線虫を除去する別の方法が必要です。

Soil Steam社のスチーム機器は、地面30cm下までスチームを発して蒸し、薬剤や農薬に頼ることなく土中の雑草(種子)や菌類、線虫などを死滅させることができます。そのため、より少ない農薬使用料でベリーや果物、花、野菜を生産することができ、持続可能な生産を実現しています。

Youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=_vJbUqOAjnM

ビジネスモデル

Soil Steam社では、モバイルユニット「Soilprep2020」と据え置き型ユニット「Gaia」の2つの製品を使ったサービスを提供しています。

Soilprep2020は、2021年より契約ベースでの利用が可能になります。2021年秋には南ヨーロッパで、2022年はヨーロッパとアメリカの両方で稼働する予定です。ヘクタールあたりの概算費用は12.000ユーロ(3〜5年に1度の利用を推奨)とされています。

据え置き型のGaiaは現在ノルウェーでのみ、納入可能です。

テクノロジー

モバイルユニットのSoilprep2020は、30cmの深さまで土壌を加熱することができます。農薬や除草剤を一切使用せず、収穫量が最大74%増加する可能性があることが実証されています。また、多くの野菜の保存期間を伸ばすとされています。

蒸らしたい深さ、土壌の温度、水分、土壌の種類に応じて、1時間あたり250m2から600m2の範囲をカバー可能です。

据え置き型のGaiaは、特に外来種に強い機械です。外来種(雑草や種子)、真菌、線虫で汚染された土壌を当社の機械に投入し、土壌を適切な温度に加熱して、汚染物質を完全に除去します。土壌の質、温度、水分に応じて、1時間あたり20〜50 m3の土壌分の作業が可能です。

今後の計画

Soil Steam社では、モバイルユニットのSoilprep2020のサービス提供範囲を拡大しており、2021年秋には南ヨーロッパで、2022年はヨーロッパとアメリカの両方で稼働する予定です。

コメント

農薬を含む化学物質の過剰使用が作物の収量と品質を低下させ、食糧安全保障に影響を与える脅威となっている中、Soil Steam社の土壌を蒸すという画期的な手法は今後注目が高まっていくと期待されます。

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