会社基本情報
| 会社名 | Terramera, Inc. |
|---|---|
| 所在地 | カナダ ブリティッシュコロンビア州バンクーバー |
| 設立 | 2010年 |
| 代表者 | Nate Kelly(CEO) |
| 事業内容 | グリーンケミストリーと機械学習を活用したクリーン農業技術 |
| 資金調達額 | 累計9,800万ドル |
| 公式サイト | https://www.terramera.com/ |
事業概要

Terramera(テラメラ)は、グリーンケミストリー(環境に配慮した化学技術)と機械学習を組み合わせ、農薬使用量の削減と土壌の健全化を同時に実現するカナダのアグリテック企業です。
同社の基盤技術は大きく2つあります。1つ目は、Exosect由来のワックスカプセル化技術です。有効成分をワックス粒子でコーティングすることで、少量の農薬でも効果を最大化し、環境への流出を最小限に抑えます。2026年2月には温室栽培向けのワックスカプセル化製品を発表しています。
2つ目は、Terramera Intelligence Engine(TIE)と呼ばれるAIプラットフォームです。土壌の健康状態を定量的に評価し、最適な作物保護戦略を提案します。機械学習モデルにより、化合物の効果予測や新規有効成分の探索を効率化しています。
Terramaraは「Canada’s Top 50 Cleantech」にも選出されており、クリーンテクノロジー分野で高い評価を得ています。
課題と解決策
課題:農薬の過剰使用と土壌劣化
現代農業では、農薬の大量使用による土壌微生物の減少、水質汚染、そして害虫の薬剤耐性の発達が深刻な問題となっています。一方で、農薬を単純に減らすだけでは収量低下を招くため、農家にとっては減農薬と生産性の両立が大きな課題です。
解決策:少量で高効果を実現する製剤技術とAI
Terramaraのワックスカプセル化技術は、農薬の有効成分を微細なワックス粒子に封入することで、作物への付着性を向上させ、必要な薬量を大幅に削減します。従来の製剤と異なり、有効成分が雨で流れ落ちにくく、ターゲットとなる害虫や病原体に集中的に作用します。
また、TIEプラットフォームは膨大な化学・生物学データを学習し、新規有効成分の発見速度を加速させます。従来は10年以上かかっていた新規農薬の開発期間を短縮できる可能性があります。土壌の健康度をデータとして可視化することで、農家が根拠に基づいた意思決定を行えるようになります。
ビジネスモデル
Terramaraは、自社開発の製剤技術をライセンスモデルで農薬メーカーに提供するアプローチと、自社ブランド製品の直接販売の両方を展開しています。ワックスカプセル化技術は既存の農薬有効成分にも適用可能であるため、大手農薬メーカーにとっては自社製品の性能向上手段として魅力的です。
TIEプラットフォームはSaaS型のサービスとして、大規模農業法人や農薬メーカーの研究開発部門に提供されています。土壌分析データの蓄積が進むほどAIの精度が向上するため、長期的なデータ資産としての価値も見込まれます。
今後の計画
2026年2月に発表された温室向けワックスカプセル化製品は、施設園芸分野への本格参入を示しています。温室栽培では閉鎖環境であるがゆえに農薬の残留が問題になりやすく、少量で効果を発揮するTerramaraの技術には大きな需要が見込まれます。
今後は、TIEプラットフォームを通じた土壌炭素クレジット市場への参入も期待されます。土壌の健康状態を定量的に測定・証明できる技術は、カーボンファーミングの分野でも重要な基盤となります。
コメント
Terramaraは、農薬を「悪」として排除するのではなく、テクノロジーで「賢く使う」というアプローチをとっている点が特徴的です。完全な無農薬栽培が現実的でない多くの農業現場において、このアプローチは非常に実用的です。
同じく害虫防除の分野では、フェロモン技術のProviviのように化学農薬以外の選択肢も増えています。多様な農法を組み合わせたIPM(総合的病害虫管理)の実践がますます重要になる中、Terramaraのような減農薬技術の役割は大きいでしょう。
また、温室向け製品の展開は、植物工場の成功事例にも見られるように、施設園芸が世界的に拡大している流れに合致しています。