農業用ドローン農薬散布の料金・費用まとめ|代行費用・機体価格・ランニングコストを徹底比較

農業用ドローンによる農薬散布に興味はあるけれど、「実際いくらかかるの?」と費用面が気になっている方は多いのではないでしょうか。ドローン散布の費用は、自分で機体を購入して飛ばすのか、散布代行サービスに依頼するのかで大きく異なります。

この記事では、散布代行サービスの料金相場、機体の購入費用、ランニングコスト、活用できる補助金、さらには海外との費用比較まで、ドローン農薬散布にかかる費用の全体像を徹底的に解説します。

なお、具体的な代行業者の比較は農業ドローンの代行業者の比較のページでも紹介していますので、あわせてご参照ください。

農薬散布ドローンの費用の全体像

ドローンによる農薬散布の費用を考える際、大きく分けて「代行サービスに依頼する」方法と「自分で機体を購入して散布する」方法の2つがあります。

それぞれの特徴を整理すると以下のようになります。

代行サービスに依頼する場合

  • 初期費用がほぼ不要
  • 1反(10a)あたり1,500〜3,000円程度が相場
  • 資格取得やメンテナンスの手間がかからない
  • 散布時期の予約が必要で、繁忙期は希望日に対応できないこともある

自分で機体を購入する場合

  • 機体価格:約50万〜400万円以上(メーカー・機種による)
  • 資格取得費用:約15〜30万円
  • 年間維持費:約20〜50万円(バッテリー、保険、メンテナンス等)
  • 好きなタイミングで散布でき、面積が大きいほど1反あたりのコストが下がる

一般的に、散布面積が年間10ha以上になると、自分で機体を所有した方がトータルコストで有利になるケースが多いです。逆に数ha程度の散布であれば、代行サービスの利用がコスト面で合理的です。

散布代行サービスの料金相場

ドローン農薬散布の代行サービスを利用する場合の料金相場を詳しく見ていきましょう。

1反(10a)あたりの料金相場

代行サービスの料金は、地域や業者によって異なりますが、1反(10a)あたり1,500〜3,000円が一般的な相場です。多くの業者では2,000円前後を基本料金として設定しています。

散布面積が広いほど単価が下がる傾向があり、まとまった面積を依頼すると割引が適用されるケースもあります。

代行料金に含まれるもの・含まれないもの

一般的に料金に含まれるもの

  • ドローンによる散布作業(オペレーター費用含む)
  • 機体・バッテリーの使用料
  • 基本的な保険料

別途費用がかかることが多いもの

  • 農薬代(散布する薬剤は農家が用意するケースが多い)
  • 出張費・交通費(遠方の場合)
  • 圃場が変形地や傾斜地の場合の追加料金

面積別の目安料金

以下は、代行サービスを利用した場合の目安料金です(農薬代別、1回の散布あたり)。

  • 1反(10a): 約2,000〜3,000円
  • 5反(50a): 約8,000〜12,000円
  • 1ha(100a): 約15,000〜25,000円
  • 5ha: 約60,000〜100,000円
  • 10ha: 約100,000〜180,000円

これは年に複数回散布が必要な場合もあるため、年間の散布回数を考慮して総額を見積もることが重要です。水稲であれば年3〜5回程度の散布が一般的です。

ドローン機体の購入費用

自分で散布を行う場合、まず必要となるのが機体の購入費用です。日本で利用可能な主要メーカーの機種と価格帯を紹介します。

DJI Agrasシリーズ

世界最大手のドローンメーカーDJIの農業用ドローンシリーズです。

  • DJI AGRAS T25: 約400万円(日本国内の代理店販売価格)。タンク容量20L、1フライトで約2haの散布が可能。コンパクトで取り回しがよく、中規模農家に適しています
  • DJI AGRAS T40: 海外価格で約200〜265万円(Ready to Flyキット)。タンク容量40L、大規模散布に対応。日本国内では代理店を通じた販売で、価格はお問い合わせが必要です

マゼックス 飛助シリーズ(国産)

農林水産航空協会認定の国内製造メーカーで、サポート体制が充実しています。

  • 飛助mini: 約60万円(税込66万円)〜。タンク容量5L、中山間地や小規模圃場向け
  • 飛助DX: 約84万円(税込約92万円)〜。低燃費設計で散布効率が高い
  • 飛助MG: 約84万円(税込約92万円)〜。タンク容量16L、最大2haの散布が可能
  • 飛助10: 約126万円(税込約139万円)〜。2025年発売の新型で、高性能化

XAG(中国メーカー・日本展開あり)

中国発のスマート農業メーカーで、完全自動飛行・自動散布機能が特徴です。日本ではInfinityCrest株式会社が総代理店として販売しています。価格はお問い合わせベースですが、100〜300万円程度の価格帯とされています。

価格帯のまとめ

  • エントリーモデル(5〜10Lクラス): 約50〜100万円
  • ミドルモデル(10〜20Lクラス): 約80〜400万円(国産機は安め、DJI代理店経由は高め)
  • ハイエンドモデル(30〜40Lクラス): 約200万円〜(代理店経由の販売で要問合せ)

ランニングコスト

機体を購入した後にも、さまざまな維持費が発生します。年間のランニングコストを項目ごとに解説します。

バッテリー関連費用

農業用ドローンのバッテリーは消耗品であり、使用頻度にもよりますが年1〜3回の交換が必要です。1本あたり約10万円前後が相場で、通常2〜3本を運用するため、年間のバッテリー費用は約10〜30万円となります。

保険料

ドローンの運用には保険加入が事実上必須です。

  • 機体保険: 年間約1.8〜6万円(機体価格や補償内容による)
  • 賠償責任保険: 年間約0.5〜1.2万円

一部メーカーでは購入後1年間の無償保険が付帯される場合もあります。

定期メンテナンス・点検

農林水産航空協会認定機体は年1回の定期点検が必要で、費用は約6〜10万円が相場です。故障時の修理費は部品代を含め別途かかりますが、年間で平均約10〜20万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

資格取得・更新費用

農薬散布を行うには操縦資格の取得が必要です。

  • 操縦資格取得(認定スクール): 約15〜30万円(3〜5日間の講習)
  • 国土交通省への飛行許可申請: 自分で行えば無料(行政書士に依頼する場合は約3〜5万円)

年間ランニングコストの目安

全体をまとめると、年間のランニングコストは約20〜50万円程度です。散布面積が10haの場合、1反あたりに換算すると約2,000〜5,000円となり、代行サービスと比較して検討する際の参考になります。

補助金・助成金

農業用ドローンの導入には、国や自治体からの補助金を活用できる場合があります。

国の補助金制度

強い農業づくり総合支援交付金(農業支援サービス事業支援タイプ)

農業支援サービス事業体が農薬散布用ドローン等の農業用機械を導入する際に、本体価格の1/2以内が補助されます。

スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート緊急対策事業

複数の都道府県にわたってスマート農業サービスを展開する事業者が対象で、補助率1/2以内(補助額500万〜5,000万円)となっています。

産地生産基盤パワーアップ事業

収益力強化に取り組む産地における高性能機械・施設の導入を支援する制度です。

地方自治体の補助金

各自治体独自の補助金制度も全国的に増えています。自治体の補助金は申請手続きの難易度が比較的低く、ドローン導入など小規模な投資でも利用しやすいのが特徴です。補助率は自治体により異なりますが、導入費用の最大9割近くが補助されるケースもあります。

お住まいの自治体の農業振興課や農業委員会に問い合わせることをおすすめします。

詳しくは農林水産省 農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会のページで最新情報をご確認ください。

海外との費用比較

日本のドローン散布費用は、海外と比較するとどのような水準にあるのでしょうか。主要国のデータを紹介します。

アメリカ

ミズーリ大学エクステンション(公立の農業普及機関)の経済分析によると、アメリカでのドローン散布コストは以下のとおりです。

  • 農家が自分で散布する場合: 1エーカーあたり約12.27ドル(1反あたり約800円換算)
  • 散布業者に委託する場合: 1エーカーあたり約16ドル(1反あたり約1,000円換算)
  • 散布業者の原価: 1エーカーあたり約7.39ドル(1反あたり約480円換算)

機体購入費用は、ドローン一式(バッテリー3本含む)で約56,000ドル(約840万円)、業者向けの2機体制で約94,500ドル(約1,400万円)と報告されています。なお、従来の航空機による散布は1エーカーあたり約12.50ドルとほぼ同水準です。

インド

インドではドローン散布サービスの価格が非常に安く、1エーカーあたり300〜700ルピー(約500〜1,200円)で利用できます。機体価格も15万〜250万ルピー(約27万〜450万円)と幅広く、政府のSMAM補助金制度では対象者に対してドローン費用の最大80%が補助されます。

中国

世界最大の農業用ドローン市場である中国では、DJI Agras T40が約5,000〜8,000ドル(約75〜120万円)と、日本やアメリカと比べて大幅に安い価格で販売されています。1台のドローンで1日あたり約50エーカー(約20ha)をカバーでき、手作業やトラクターの約8倍の生産性があるとされています。

日本との比較

日本の散布代行料金(1反あたり1,500〜3,000円)は、アメリカの委託費用(同約1,000円)やインド(同約200〜500円)と比べると割高です。ただし、日本は圃場が小規模で分散していることや、人件費の違いもあるため、単純比較は難しい面があります。

一方、FAO(国連食糧農業機関)はドローン散布について「農薬使用量を最大30%削減できる」と報告しており、コスト削減だけでなく環境負荷の低減効果も国際的に認められています。

まとめ

ドローンによる農薬散布の費用について、主要なポイントを整理します。

  • 散布代行サービスは1反あたり1,500〜3,000円が相場で、小規模農家にはコスト面で有利
  • 機体購入は約50〜400万円以上。年間10ha以上散布するなら自己所有が経済的
  • 年間ランニングコストは約20〜50万円(バッテリー、保険、メンテ、資格更新等)
  • 補助金を活用すれば、導入費用の最大1/2〜9割近くが補助される可能性がある
  • 海外と比較すると日本の散布費用はやや割高だが、精密農業による農薬削減効果で長期的なコストメリットが期待できる

まずは代行サービスでドローン散布の効果を試してみて、散布面積や回数が増えてきたら自己所有を検討するのが、リスクを抑えた導入ステップとしておすすめです。

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