国際市場でインドの新鮮な紅茶を販売するEコマーススタートアップVahdam Teas社について解説

事業概要

Vahdam Teas社は、国際市場で新鮮な紅茶を販売するインドを拠点としたEコマースのスタートアップです。2015年にインドで設立され、社員数は11〜50人と推定されます。

従来のインドの食品供給は、オークション業者、小売業者、サプライヤーなどの複数の中間業者が関与していたため、供給が滞っていました。Vahdam Teas社のサプライチェーンは、不要な中間業者を排除し、インドの有名な茶園からプレミアムティーやスーパーフードを調達し、インドの最先端の茶園施設で新鮮な状態で包装し、利用者に届けています。

インドは、世界で生産される紅茶の大部分を占めています。インドの紅茶産業は、インド国内で2番目に多くの労働力を雇用しています。紅茶産業は、世界的に評価の高い紅茶ブランドへの大量輸出に依存しており成長を続けている一方で、インドの農家は低賃金かつ長時間の労働が強いられています。世界的なブランドは、農家が正当な価格を要求すると、躊躇なく他の地域の劣悪な茶葉に切り替えるので、農家にとって利益を拡大するのが難しいことが問題となっていました。

Vahdam Teas社ではVAHDAM® Indiaをはじめとして国産ブランドを取り扱っており、農家の利益を最優先事項としています。不要な中間業者を排除し、パートナーである農園とパートナーシップを組んでいます。そうすることで、すべての収益が地域にとどまり、各農家が適正価格で取引できるようになります。

ビジネスモデル

Vahdam Teasは、eコマースプラットフォームを運営しているほか、Amazonなどの大手企業とも提携し、米国や欧州などの国際市場で消費者に直接お茶を販売しています。

マクロレベルでの農家の支援に加えて、教育や健康といったミクロの問題にも取り組んでいます。VAHDAM® Indiaの製品を購入するたびに、売上の1%が農家の子どもたちの教育に使われます。

テクノロジー

Vahdam Teas社は、中間業者をカットすることで、消費者にお茶を出荷するまでの時間を短縮しています。従来のインドから輸出する際のサプライチェーンでは、商品は流通業者を経由して、輸出業者に販売され、中間にはブローカーも登場します。そして、輸入業者が茶葉を輸入します。結果的に、消費者に届くまでの供給サイクルには数ヶ月を要していました。

この問題に対処するため、Vahdam Teas社はサプライチェーンネットワークを構築し、インド国内の何百もの茶園から直接茶葉を調達しています。すべての商品をニューデリーの倉庫に保管し、さまざまな市場の事業体に直接輸出しています。茶葉をより早く届け、サプライチェーンをよりよくコントロールすることは、Vahdam Teasの重要な差別化要因の一つです。

今後の計画

2019年10月に、Vahdam Teas社は1100万ドルを調達しました。調達資金は、米国とヨーロッパでのプレゼンス拡大に利用される予定です。サプライチェーンネットワークの強化と米国およびヨーロッパでの追加オフィスの設立に投資されます。また、新製品を発売し、南アジアとアラブ首長国連邦の新市場に参入することも計画しています。

2019年時点でのVahdam Teasの売上の約99%はインド国外からのものとなっていましたが、この調達資金を活用して、インド国内での事業拡大も検討しています。

コメント

Vahdam Teas社の取り組みは、中間業者を排除することで農家にとって適正価格での取引を可能にしており、持続可能な農業を支えるプラットフォームだと言えます。世界的なブランドとの取引だけでは十分に利益をあげられない農家がある中、同社のプラットフォームは今後さらに利用者が増えると予想されます。

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