高解像度のマップで精密農業をサポート。高度なデータ解析技術を持つドイツの企業 Geopard agriculture を紹介します。

精密農業という言葉をご存知でしょうか。圃場内の気象や作物生育状況を細かく観測し、データに基づいてきめ細やかに管理する栽培方法です。精密農業では人工衛星やセンサーを用いて膨大なデータを取得しますが、それらを人が見て分かる形に解析しなければ意味がありません。そこで Geopard agriculture は、高度な解析技術を用いて、圃場のデータをマップに表示するサービスを提供しています。視覚的な理解を助け、肉眼による観察だけでは見えなかった事実も浮き彫りにしてくれるでしょう。

Geopard agriculture 基本情報

住所:DE 50733 NRW Cologne

設立:2019年

従業員数:11〜50人

データの精密さで他社と差別化

コア技術はデータ解析

Geopard agriculture は、衛星観測や土壌分析で得たデータをマップ上で一元管理するプラットフォームを提供するドイツの企業です。高度なデータ解析技術と、多量で複雑なデータセットを運用するノウハウに強みを持っており、圃場内の環境を精密に分析・管理する営農方式をサポートします。

類似したプラットフォームを提供する企業は多数ありますが、Geopard agriculture はデータの豊富さと精密さ、およびマップの解像度の高さで差別化できています。

精密農業をサポート

ひとつながりの圃場内でも、地形や土質は均一ではなく、場所によって栽培結果が異なります。そこで、圃場をきめ細かく分析・管理して生産性を高める「精密農業」という手法があります。精密農業では、圃場内を細かくプロット分けして各地点の環境や土壌のデータを取得し、どの地点に何を植えるか、どの場所により肥料を投入するかなどの条件を設定します。Geopard agriculture のサービスは、そのような精密農業に必要なデータ解析を支援し、取得したデータの可視化・一元管理化に貢献します。

高解像度なマップ表示

観測データの解像度・精度を高める解析技術

Geopard agriculture では人工衛星の観測データを継続的に取得しており、地形、作物の生育状況、予測収量などを解析してユーザーのマップ画面に表示します。人工衛星が取得する生データは10m×10m程度の解像度ですが、Geopard agriculture は独自のアルゴリズムにより、3m×3mまで解像度を高めることができます。さらに機械学習により、雲の影響を排除したデータ加工が可能です。これらの高解像度で高精度なデータを用いることで、個々の圃場に合わせた、きめ細やかな対応が可能になるでしょう。

過去のデータや圃場での分析データも使用可能

解析できるデータの幅が広いのも長所です。衛星データだけでなく、土壌分析の結果をアップロードしたり、他の圃場管理ソフトのデータを読み込ませたりすることもできます。また、過去の衛星観測結果がクラウドに保存されており、約30年前まで遡って閲覧できます。

VRAマップの出力

Geopard agriculture が提供するアプリケーションでは、解析した情報をもとに可変施用(Variable Rate Application; VRA)マップが作成されます。マップ上では以下のデータが色分け表示され、同一圃場を様々な切り口から分析できます。

  • 地形
  • 作物の色合い
  • 正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index; NDVI)
  • 葉緑体指数(Green Chlorophyll Index; GCI)
  • 予測収量

VRAマップは、データの種類によってレイヤーを分けて作成したり、3D表示したりできます。これらの機能により、視覚的に圃場の姿を理解しやすくなるでしょう。

昔の川の跡まで見える

データをVRAマップに表示して地形との関係性を見やすくすることで、数字だけ見ていても気づかなかった事実が明らかになります。

例えば、土壌の電気伝導度(Electric Conductivity; EC)は、土壌中の無機塩類(特に硝酸態窒素)の含量を表す指数であり、肥料成分の量を知る参考となります。圃場の土をECメーターで測定し、得られた値を Geopard agriculture のソフトウェアに読み込ませると、EC値の高低が色分けでマップ表示されます。

ある農地のEC値をVRAマップに表示したところ、EC値が周囲より低い領域が帯状に走っていました。実はこの農地は、かつて川を埋め立てて平地にした場所でした。地下には現在も水が流れており、土壌中の無機塩類が溶出してしまうため、川の跡に沿ってEC値の低い領域ができたのです。このように、地表の観察だけでは分からない情報を目に見える形にしてくれることが、VRAマップの大きな長所です。

まとめ

圃場のデータを細かく採取して施肥量や灌水量を微調整する、精密農業という方法があります。Geopard agriculture が提供する解析技術によって、農地の地形、作物生育状況、栄養状態などの情報を一元管理でき、精密農業の精度を高められるでしょう。高解像度なVRAマップで圃場の状態を観察すれば、肉眼では見えなかった農地の特性が明らかになり、適切な管理方法を決める手掛かりになると考えられます。

URL

Geopard agriculture https://geopard.tech/

Geopard agriculture | Linkedin https://www.linkedin.com/company/geopard-agriculture/