10年間で羊の飼養頭数を倍に 「 pasture cropping 」の実践事例

10年間で羊の飼養頭数を倍に 「 pasture cropping 」の実践事例

しらい
しらい

今回は、オーストラリアの農家が、農学の常識に反する農法を採用し、結果的に羊の飼養効率を倍にしたという話をお伝えします。

よしだ
よしだ

それは意外ですね。普通の農学だと、草が生える土は作物向きじゃないって教わるイメージがあります。

しらい
しらい

そうなんです。この農家はもともと地力が枯れ果てた土地だったんですが、本来の地力を取り戻すために、昔ながらの自然の草と作物を共存させる方法をとりました。

よしだ
よしだ

つまり、昔の自然の仕組みをもう一度呼び戻した、ということですか?

しらい
しらい

研究によると、この土地には地下に何十年も眠っていた種の銀行が存在していたそうで、その種が復活して元の生態系が回復したんです。

よしだ
よしだ

それってコストパフォーマンスとしてはどうなんでしょう?

しらい
しらい

初期投資は高めですが、長期的には化学肥料や農薬の使用を大幅に減らせるので、経済的なメリットがあります。

よしだ
よしだ

補助金に頼らないと成り立たない部分もあるんじゃないですか?

しらい
しらい

補助金がもらえる分野ではあるんですが、実際の収益性は地域や規模によって大きく変わります。研究では、効率的な管理が鍵になるとされています。

よしだ
よしだ

労務コストは結構かかるものなんですか?

しらい
しらい

放牧の管理や季節の調整には手間がかかる一方で、機械化が進めば労働力の削減も可能です。

よしだ
よしだ

これって広範囲で実施できるものなんでしょうか?

しらい
しらい

環境条件や地域によっては適用が難しい部分もあります。ただアグリボルタイクスのように、地域の特性を活かせば導入が可能になるケースもあります。

よしだ
よしだ

そういえば、最近は海外でも同じような取り組みが広がっていると聞いたことがあります。

しらい
しらい

そうなんです。欧州や北米でも再生型農業の実例が増えていて、政策面での支援も進んでいます。

よしだ
よしだ

今後は導入が拡大していきそうですね。ただ実際のところは、地域や規模によって変わってくるんでしょうね。

「 pasture cropping 」とは?

「 pasture cropping 」(牧草地での作物栽培)とは、夏の草木が休眠する時期に冬の作物を直接牧草地に播種し、夏にはその草木が再び成長するという方法です。この手法は、オーストラリアの農家・コリン・シーアン(Colin CE)が1993年に実践し、結果として羊の飼養頭数を従来の2倍に増やしました。この方法は、従来の農業では「作物と牧草地はどちらか一方しか育たない」とされていましたが、実際には両者が共存可能であることを示しています。

羊の飼養頭数が倍増した理由

コリン・シーアンは、1993年にオーストラリアの中央テーブルランドにある840ヘクタールの牧草地に、従来の農業者たちが「草むしり」だと見なしていた草をそのまま残し、冬の作物(オート)を播種しました。この方法により、夏の草木が休眠する間に作物が育ち、冬の作物が収穫された後は、草木が再び成長します。このようにして、羊の飼養頭数を従来の2倍に増やすことができたのです。また、この方法は、土壌の生物学的バランスを保ち、乾燥期でも安定した飼料供給が可能になるため、農業の持続可能性を高めています。

「 pasture cropping 」の実施条件と課題

「 pasture cropping 」は、特定の条件が整っている場合にのみ成功します。例えば、冬と夏の雨量がバランスよく降る地域、夏の草木が既に存在するか、再導入できる地域、土壌が排水性が良く、重い粘土質の地盤が望ましいなどです。また、播種のタイミングを正確に把握する必要があります。失敗すると作物が育たず、結果として収穫量が減少します。さらに、この方法は長期的な投資であり、短期間では収益が見込めないため、債務を抱える農家にとってはリスクが大きいです。

再生型農業としての意義と今後の展開

「 pasture cropping 」は、再生型農業(リジェネラティブ農業)の実例として注目されています。この手法は、土壌の生物多様性を高め、乾燥期の耐性を強化し、農業の持続可能性を高める効果があります。オーストラリアでは、この手法を広めるための支援制度が整備されており、海外でも多くの農家が導入しています。また、農業の未来像として、環境と経済の両面で持続可能な農業の実現が期待されています。

よくある質問(FAQ)

Q. 「 pasture cropping 」はどのくらいの面積で実施できますか?

オーストラリアのコリン・シーアンの農場では、840ヘクタール(東京ドーム約0.9個分)の広さで実施されています。ただし、地域や土壌条件によっては適用が難しい場合があります。

Q. 「 pasture cropping 」の収穫量は従来の農法と比べてどうなりますか?

従来の農法と比較すると、作物の収穫量は約65%程度と低い傾向があります。しかし、羊の飼養頭数が倍増し、土壌の生物多様性が高まり、乾燥期の耐性が向上するため、長期的には経済的・環境的メリットが大きいです。

Q. 「 pasture cropping 」を実施するにはどのような準備が必要ですか?

まず、夏の草木が休眠する時期に作物を播種するための知識と技術が必要です。また、土壌の状態や雨量のバランス、植生の管理など、農場全体の状況を把握する必要があります。

Q. 「 pasture cropping 」は日本で導入できますか?

日本でも同様の手法が試みられていますが、気候や土壌条件、作物の種類など、地域特性に応じて調整が必要です。農林水産省の支援制度やJAの支援を活用することで導入が可能です。

Q. 「 pasture cropping 」の導入に必要なコストはどれくらいですか?

導入には初期投資が必要ですが、長期的には肥料や農薬の使用が減るため、年間約60,000〜120,000円のコスト削減が見込まれます。また、羊の飼養頭数が増えることで、収入も増加します。