ドローンによる全季節農薬散布の現場実例
要約: 130ヘクタールを運営する農業法人が、DJI Agras T25PとT70Pを導入し、従来1時間かかっていた防除作業を5分に短縮した事例を紹介。高濃度少量散布と通常濃度大量散布の使い分けにより、大手メーカー向けの高品質作物生産を維持しつつ、人手不足と高齢化への対策としてドローン活用を推進している。
今回紹介するのは、DJI Agricultureの動画で、農業法人ベジタがドローン「T25P」と「T70P」を使って1年通じた防除作業をどのように自動化・効率化しているかという事例です。
なるほど、単なるシーズン中の補助ではなく、通年での活用という点が注目ですね。特に印象に残ったポイントはどこでしたか?
やはり「1時間かかる防除作業が、自動航行で5分で完了する」という時間効率の劇的な改善です。130ヘクタールという大規模経営において、この時間短縮は単なる楽さではなく、労働力の確保という深刻な課題に対する現実的な解になっています。
数字としては非常にインパクトがありますね。ただ、初期投資に対する回収期間や、既存の人力防除とのコスト比較はどうなんでしょうか。
動画では具体的な金銭的ROIは示されていませんが、導入初期にはタンク容量不足で全量を賄えなかったという課題があったと語られています。しかし最新機種では1回で100リットルの散布が可能になり、じゃがいもの4回防除をすべてドローンで行えるようになったと述べています。
つまり、技術の進歩で「量」の制約が解けたことで、実用性が格段に上がったということですね。これは追加投資というより、業務プロセスそのものの変更と言えますか。
その通りです。30人の会社規模で、ドローンチームは4名体制。入社1〜2年の社員でも、30年経験の熟練者と同じ品質で散布できる点が重要だと指摘されています。技能の属人化を解く、あるいは若手への技能移転の加速という側面があります。
労務コストの観点では、熟練者依存からの脱却は大きなメリットですね。一方で、機械の故障リスクやオペレーターの離職への対応といった、新しいリスク管理も必要になりそうです。
そこが通年活用の鍵になっています。夏場の防除だけで購入するのはもったいないという声に対し、春の除草剤散布や水やりなど、多様な用途での活用が提案されています。固定資産としての稼働率を高める工夫ですね。
なるほど、稼働率の最大化。ただし、地域ごとの気候条件や作物体系によって、この「全季節」モデルが成立するかは分かれそうです。広島県北部という、高齢化が進み農地維持が課題となる地域での事例である点も考慮すべきでしょう。
ええ。この地域では農家の高齢化が特に進んでおり、離農が続いています。若い農家が守るべき農地を、いかに技術で維持するかという文脈があります。AIの発展で、誰でも簡単に扱えるようになることが期待されていますが、現状ではまだ専門的な知識と体制構築が必要です。
確かに、補助金ありきの導入ではなく、経営として持続可能かどうかの判断が難しいところです。メリットとして効率化は明確ですが、初期投資と運用体制の維持コストをどう見込むかは、各農家や法人の規模次第ですね。
そうですね。技術自体は成熟しつつありますが、導入の成否は「誰が」「どんな規模で」「何を育てるか」によって大きく変わります。この動画は、その一形態を示すものとして捉えるのが妥当でしょう。
導入には地域や規模で判断が分かれそうです。選択肢の一つとして、その可能性と課題を客観的に示す良い事例ですね。今日はここまでです。
130ヘクタール規模でのドローン防除の課題と解決
株式会社ベジタは、広島県北部で130ヘクタール(東京ドーム約27個分)の栽培面積を有し、キャベツ、カルビー向けジャガイモ、カゴメ向けトマトを栽培しています。大手食品メーカーとの契約では、虫食いや病気の有無が厳しく問われるため、定期的かつ効果的な防除が必須です。5年前の初期導入時は、タンク容量が小さく散布量に限界があり、全工程をドローンで賄うことは困難でした。しかし、最新機種の導入により、単回で100リットルの散布が可能となり、ジャガイモの生育期間中に行う4回の防除をすべてドローンで完遂できるようになりました。
T25PとT70Pの使い分けによる高品質維持
同社では、用途に応じて2機種を使い分けています。DJI Agras T25Pは、高濃度少量散布に特化しており、効率的な薬剤投与を実現します。一方、T70Pは通常濃度の農薬を単回で100リットル散布できるため、広範囲かつ均一な防除が必要な場面で活用されています。この使い分けにより、従来1時間かかっていた防除作業が、自動航行によってわずか5分で完了するようになりました。これにより、作業時間の大幅な短縮と、品質基準を満たすための安定した防除体制の構築が可能になっています。
オペレーター育成と即応体制の構築
従業員約30人の規模に対し、ドローンチームは4人体制で運営されています。1人に1台のドローンを割り振り、必要時にすぐ出動できる体制を整えています。最大のメリットは、自動航行機能により、入社1〜2年の新人オペレーターでも、30年以上の経験を持つベテラン社員と同様のクオリティで防除作業を行える点です。これにより、熟練者への依存を減らし、組織全体の技術レベルを平準化することが可能になり、繁忙期の人手不足を解消する鍵となっています。
多用途活用と地域農業の維持への貢献
夏場の防除だけでなく、春の除草剤散布や水散布など、ドローンを多用途に活用することで、投資対効果を高めています。広島県北部では農家の高齢化が進み、毎年離農者が出ており、遊休農地の維持が若手農家への課題となっています。ドローンによる効率的な管理は、こうした農地を引き受ける際の大きな武器となります。今後はAI技術の発展に伴い、さらに誰でも簡単に高品質な野菜生産ができる環境が整うことが期待されています。
よくある質問(FAQ)
Q. DJI Agras T70Pで1回の飛行で散布できる農薬の量はどれくらいですか?
DJI Agras T70Pは、通常濃度の農薬を単回で100リットル散布することが可能です。これにより、ジャガイモの生育期間中に必要な4回の防除をすべてドローンで完遂できるようになりました。従来の小型機では散布量に限界がありましたが、大容量タンクにより広範囲の圃場でも効率的な作業が実現しています。
Q. ドローン防除の作業時間は、従来と比べてどれくらい短縮されますか?
自動航行機能を活用することで、従来1時間かかっていた防除作業が、わずか5分で完了します。これはT25PやT70Pの高性能な自動飛行と、適切な散布設定によるものです。大幅な時間短縮により、オペレーターは他の管理業務に注力でき、農作業全体の生産性が向上します。
Q. ドローンオペレーターに経験は必要ですか?新人でも扱えますか?
自動航行機能により、入社1〜2年の新人オペレーターでも、30年以上の経験を持つベテラン社員と同様のクオリティで防除作業を行えます。熟練した技術や勘に依存せず、標準化された操作で高品質な散布が可能なため、人材育成の負担を軽減し、組織の安定運用につながります。
Q. ドローンは防除以外にどのような用途で使用できますか?
夏場の農薬散布だけでなく、春の除草剤散布や水散布などにも活用できます。これにより、ドローンが稼働しない期間を減らし、投資対効果を高めることができます。多用途に使えることで、季節ごとの作業負荷を平準化し、年間を通じた効率的な農場管理が可能になります。
Q. 大手食品メーカー向け作物の生産でドローン防除が重要な理由は?
カルビー向けジャガイモやカゴメ向けトマトなど、大手メーカーとの契約では、虫食いや病気が許されず、品質基準が非常に厳格です。定期的かつ効果的な防除が必須であり、ドローンによる均一で正確な散布は、こうした高品質基準を安定して満たすために不可欠な手段となっています。