広大な圃場を見渡す「鳥の目」が手に入る! FluroSat が提供する圃場管理プラットフォームを紹介

広大な圃場を管理する農家にとって、大きなコストになるのは作物の生育状態の確認。人力で見て回るのは膨大な時間がかかり、見落とすと大きな被害に繋がりかねません。そもそも、目で見て分かる程度の生理障害が発生した時点で、もう手遅れという場合もあります。そこで本記事で紹介するのは、オーストラリアの企業 FluroSat が提供するリモートセンシング技術。人工衛星から圃場全体を「鳥の目」で観察し、人の目では分からない異常も可視化してくれます。

FluroSat 基本情報

住所:Eveleigh NSW, Sydney, Australia

CEO:Anastasia Volkova

設立年:2016年

従業員数:11〜50人

コア技術は衛星画像解析によるリモートセンシング

人工衛星から情報を取得し解析

FluroSat は、衛星画像を利用して広大な圃場を俯瞰的に管理できるプラットフォーム「FluroSense」を提供しているオーストラリアの企業です。コア技術は衛星画像解析によるリモートセンシングであり、生育不良を早期発見したり、土壌中の窒素の欠乏・過剰を把握したりすることができます。

衛星画像は人工衛星センチネル-2から取得しており、10m×10mの解像度で自動的に解析を行います。解析結果から作物の生育や土壌の状態を表す指標が得られ、それらを地図上に色分け表示します。これにより、肉眼では見えない作物や土のステータスの可視化が可能です。

45か国に5000ユーザー

FluroSense は、オーストラリアやニュージーランドを中心に45か国5000ユーザーに使用されています(2021年2月時点)。これらの地域では広大な平地にセンターピボット式の圃場を構える農家が多いため、全体を人が管理するのは困難です。かといって放任的に栽培していると、病気の兆候を見逃して損失につながります。そこで、衛星から圃場を俯瞰できる FluroSense を採用することにより、コストを抑えつつ適切な圃場管理を行っています。

作物と土の状態を可視化する重要な2つの指標

【ストレス】NDVIで作物のストレスを可視化

作物で病気や生育不良が発生した場合、目で見て分かるほどの生理障害が出始めるともう手遅れということもあります。FluroSense を導入すれば、正規化植生指標(Normalized Difference Vegetation IndexI; NDVI)という指標によって、見た目では分からない作物のストレスを可視化できます。

NDVIは葉面で反射される赤色光と近赤外線の量をもとに算出される指標で、作物の生育状態を表します。NDVIは -1 〜 1 の値をとり、0.66 以上が理想的です。

NDVIが低い箇所は、クラウド上の地図で赤く塗られて可視化されます。さらに、NDVIが低下している場合は管理者へ自動的にアラートが送信されるため、早期対応が可能です。

アラートが発生した場合は、植物に以下のようなストレスがかかっている恐れがあります。気象データや作業記録を確認し、原因の特定と対処が必要です。

  • 病害虫の発生
  • 乾燥または加湿
  • 低温または高温
  • 土壌pHが不適切

【窒素】CCCIで窒素の欠乏・過剰を可視化

窒素は作物の三大元素のひとつであり、欠乏しても過剰になっても生育障害を招きます。FluroSense のオプションのひとつ FluroSense Insights + N Rx を契約すると、作物の窒素利用状況を可視化できる林冠葉緑素指数(Crop Canopy Chlorophyll Index; CCCI)という指標を提供してくれます。

CCCIは、特定の波長の光が葉面から反射される量をもとに算出される指数で、本来は葉に含まれる葉緑素(クロロフィル)の量を表します。しかしCCCIと作物の窒素利用量の間には相関関係があるため、土壌中の窒素の欠乏・過剰を知る手掛かりになります。

たとえばある農地において、尿素(即効性窒素肥料)を24 kg/ha 施用した場合と40 kg/ha 施用した場合で、CCCIを比較したとします。その結果、どちらの場合でも施用後のCCCIの推移が同程度であれば、以下のことが分かります。

  • 尿素施用量を40 kg/ha にしても、24 kg/ha の場合と作物の生育に差はなく、16 kg/ha は過剰になってしまう。
  • これまで慣習的に40 kg/ha 施用していたのであれば、24 kg/ha まで減肥してコスト削減できる。

価格と導入方法

価格は圃場面積に比例

FluroSense の価格は、圃場面積1エーカー(ac)あたりで設定されています。1acは、およそ0.4haに相当する面積です。さらに栽培する作物や取得できるデータによって価格が異なるので、複数プランでコストメリットを比較することが推奨されます。

3種類のオプションから選択

FlurSense は3種類のオプションから選べます。それぞれの機能と価格は以下の通りです。

  • FluroSense Insights:あらゆる作物の栽培に対応できる、最も汎用的なプランです。作物のストレスを可視化し、アラートを受け取ることができます。価格は $2/ac です。
  • FluroSense Insights + N Rx:穀物と豆類に適したプランです。作物のストレスに加え、窒素の欠乏・過剰を可視化できます。価格は $3/ac です。
  • FluroSense Insights – Trees:果樹園の経営に適したプラットフォームです。樹木1本1本の健康状態についてモニタリングできます。価格は $5/ac です。

まとめ

圃場面積が大きくなると、人力で病害発生の予兆を見つけたり作物の健康状態を確認したりすることは困難を極めます。異常を見落とすと、被害が圃場全体に広がり収量が大幅に減少する危険も。

そこで FluroSat が提供しているプラットフォーム FluroSense は、衛星画像を解析して圃場全体のモニタリングを可能にしてくれます。肉眼で見えない段階のストレスや、可視化しにくい土壌中の窒素も、人工衛星からの「鳥の目」が明らかにしてくれるでしょう。

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