AIベースの灌漑ソリューションを提供するアルゼンチンの農業スタートアップKilimo社について解説

事業概要

Kilimo社は、AIベースの灌漑ソリューションを提供する農業スタートアップ企業です。アルゼンチンを拠点に2014年に設立され、社員数は11~50人と推定されます。

ハードウェアを使用することなく気象データや衛星データを自動的に収集・分析できるため、セットアップや先行費用が不要となり、農家が支払う価格を大幅に削減することができます。

衛星、気候、現場のデータを利用して土壌水分トラッキングに必要な精度を実現しています。作物ごとに最適な灌漑処方を作成することで、収量を最大30%、水使用効率を最大70%向上させます。

現在では、アルゼンチン、チリ、米国に拠点を置き、8カ国200名以上の農家にサービスを提供しています。年間300億リットル以上の水を節約し、コスト削減と農業活動の持続可能性を向上させています。

農業は最大の淡水消費産業であり、淡水取水量の70%近くを使用していると言われています。しかし作物の灌漑に使用された水の約60%が無駄になっており、農業において非効率的な水の使用が問題となっています。

Youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=4lwa-6Li6t8

ビジネスモデル

Kilimo社は、気候と衛星情報のビッグデータを利用して、生産者が水使用量を最適化するのに役立つ灌漑マネジメントアプリを提供しています。

シンプルなアプリケーションで収量を向上させ、農家の直接コストを削減します。このアプリは、小麦、大豆、トウモロコシ、レンズ豆、ひよこ豆、野菜のモニタリングに対応しています。

テクノロジー

Kilimoは、農業における水利用効率を向上させるために、衛星データや気象データを利用して農家に灌漑の推奨を行うAIソリューションです。このプラットフォームは、作物生産者が生産プロセスで水使用量を最適化するのを支援します。

農場のデータ(土壌特性、灌水能力、気候、生産戦略など)を収集し、過去の膨大な情報、衛星画像、機械学習、その他の処理ツールから得られたビッグデータと組み合わせます

Kilimo社独自のソフトウェアは、生産目標を達成するために各圃場でどれくらいの灌水が必要かを生産者にアドバイスします。

今後の計画

IDB Labは2020年12月に、Kilimo社の新規プロジェクトを承認しました。この投資により、Kilimo社は革新的なデータ駆動型ソリューションの拡大と統合を支援し、作物の持続可能性にプラスの影響を与えたいと考えています。

中南米カリブ地域の農家のコストを削減すると同時に、気候変動対策へ貢献し、特に中南米カリブ地域の中小規模農家の間で認知度と利用者を増やすことに重点を置いています。

このプロジェクトは、同地域の2,200人以上の中小規模農家に恩恵を与え、1,790億リットルの水を節約し、農家に2,200万米ドルの直接的なコストメリットがあると推定されています。

コメント

南米地域でのビッグデータ技術に基づく灌漑管理ソリューションでパイオニアといえるKilimo社の技術は、今後特に南米地域においてさらに注目が集まることが期待されます。

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