会社基本情報
- 会社名:Bluewhite
- 所在地:イスラエル・テルアビブ(米国オフィス:カリフォルニア州フレズノ)
- 設立:2017年
- 代表者:Ben Alfi(共同創業者兼CEO)
- 共同創業者:Yair Shahar、Aviram Shmueli
- 従業員数:11〜50名
- 累計調達額:8,900万ドル
- 公式サイト:https://bluewhite.ai
事業概要
Bluewhiteは、既存のトラクターを自律走行マシンに変換するレトロフィットキットを提供するアグリテック企業です。Robot-as-a-Service(RaaS)モデルで、永年作物(アーモンド、ナッツ、柑橘類、ブドウなど)の生産者を主要ターゲットとしています。
同社のソリューションは、ハードウェアのPathfinderとソフトウェアのCompassの2つのコンポーネントで構成されています。

Pathfinder(ハードウェア)
既存のトラクターに後付けで装着するキットです。カメラ、LiDAR、GPSの3種類のセンサーを搭載し、リアルタイムのセンサーフュージョンによって走行経路の正確な認識を行います。播種、散布、草刈り、収穫など複数の作業を自律的に実行できます。
ディーラーの作業者2名で、通常のトラクターを約14時間で自律走行仕様に変換できます。Bluewhiteはこれを「IKEAキット」のようなアプローチと表現しています。

Compass(ソフトウェア)
フィールドから収集したデータをAIアルゴリズムで解析し、リアルタイムのダッシュボード、レポート、インサイトを提供するSaaSプラットフォームです。1人のオペレーターが複数の自律走行トラクターを同時に管理でき、作業タスクの事前計画も可能です。
どういう課題をどう解決しているか
永年作物農業が抱える課題
米国の農業、特に永年作物の生産現場では、深刻な労働力不足と人件費の高騰が大きな課題となっています。トラクターによる作業は播種から収穫まで長時間にわたり、オペレーターの疲労や安全面のリスクも問題です。
Bluewhiteのアプローチ
Bluewhiteは、新しいトラクターを購入させるのではなく、既存のトラクターに後付けするアプローチを採用しています。これにより、農家は大きな設備投資なしに自律走行技術を導入できます。
同社の技術的な特徴は以下の通りです。
- GPS信号が届きにくい密生した樹冠下でも、コンピュータビジョンとLiDARで走行が可能
- 昼夜を問わず24時間稼働が可能
- 障害物を検知するとトラクターを自動停止し、オペレーターに通知
- 複数のインプルメント(作業機)に対応し、列の選択も柔軟に設定可能
従来の有人運転と比較して、作物生産コストを最大75%削減できるとしています。これまでに75,000時間以上の自律走行運用実績があり、カリフォルニア州とワシントン州で150,000エーカー以上の農地での導入実績があります。

主要な競合としては、John DeereやCNH Industrial(CASE IH/New Holland)といった大手メーカーが自社トラクターへの自律走行機能搭載を進めています。しかし、これらは新車購入が前提であるのに対し、Bluewhiteは既存車両への後付けという異なるアプローチで差別化しています。なお、CNHはBluewhiteの投資家でもありパートナーでもあるという関係です。
ビジネスモデル
BluewhiteはRobot-as-a-Service(RaaS)モデルを採用しています。農家にハードウェアを一括販売するのではなく、サービスとして自律走行機能を提供する仕組みです。
同社のGo-to-Market戦略は3つのチャネルで構成されています。
- OEM:トラクターメーカーに自律走行ソリューションをシームレスに統合して提供
- ディーラー:農機ディーラーに差別化ツールとして展開
- エンドユーザー:農家に直接、よりスマートなオペレーション支援を提供
資金調達の状況は以下の通りです。
- 2021年9月:Series B 3,700万ドル(Insight Partners主導)
- 2024年1月:Series C 3,890万ドル(Insight Partners主導、Alumni Ventures、LIP Ventures、Entrée Capital、Jesselson、Peregrine Venturesが参加)
主要な投資家・パートナーにはInsight Partners、Entrée Capital、Telus、CNH、Peregrine Ventures、NVIDIA、Allied Venturesなどが名を連ねています。
今後の計画
Series Cで調達した3,890万ドルを活用し、以下の展開を計画しています。
- 米国内での自律走行トラクター運用の拡大
- 新たな市場への進出(グローバル展開)
- フードサプライチェーン全体の透明性向上への貢献
CEO のBen Alfi氏は「この成長の次のフェーズは、フードサプライチェーン全体に前例のない透明性をもたらすことに役立つ」と述べています。
コメント
農業用トラクターの自律走行分野は、John Deereをはじめとする大手メーカーも参入する競争の激しい領域です。その中でBluewhiteが独自のポジションを築いているのは、「既存トラクターへの後付け」というアプローチにあります。
農家にとって、数千万円するトラクターを買い替えるハードルは非常に高いですが、既存車両を14時間でアップグレードできるのは現実的な選択肢です。RaaSモデルとの組み合わせにより、初期投資を抑えながら自律走行技術を試せる点は、特に導入を検討する中規模農家にとって魅力的でしょう。
累計調達額8,900万ドル、CNHやNVIDIAといった大手パートナーの存在、そして75,000時間以上の実運用実績は、技術の成熟度を示しています。一方で、永年作物に特化している点は強みでもあり制約でもあるため、今後の作物カテゴリの拡大にも注目です。
参考URL
- Bluewhite Raises $39M to Bring Sustainable Autonomous Innovation to Farms Worldwide – PR Newswire
- Bluewhite 公式サイト
- Meet the founder: Bluewhite’s Ben Alfi – AgFunderNews
- Working with Bluewhite’s autonomous tractor kit – Future Farming
- Bluewhite raises $39M to expand autonomous tractors – The Robot Report